仙台に文学の風 仙台文学館開館
文学散歩はいかが?
仙台に新たな文化基地が誕生した。仙台文学館。ところは、仙台中心部からもすぐの台原森林公園の西端。緑に囲まれた優れた環境から、仙台に生まれ育った、仙台に学んだ文学者の足跡をたどり、彼らを通して、仙台・宮城の風土、文化を再認識しようというのがその試みである。(289号3面・仙台)
文学館を訪ねてまず驚かされるのは、その個性的な設計である。中央を流れる小川をまたぐ橋のように建てられ、建物内のホールからも吹抜を通して、その流れを見下ろすことが出来る。このような意匠を凝らした造りになったのは、自然の地形を活かそうという考えのもと、設計コンペは行われたためである。近年では、仙台でもこうしたコンペは珍しくなくなったが、公共施設の建設で、コンペが開催されたのは、この仙台文学館が初めてだそうである。
最近では、特定の作家に絞っての展示、資料収集を行う文学館も増えているが、仙台文学館は、総合文学館。仙台にゆかりのある多くの作家たちを幅広く取り上げている。常設展示の柱になっているのは、落合直文、島崎藤村、土井晩翠の3人の詩歌人。いずれも仙台との深いかかわりを持つ。直文、晩翠は宮城の生まれ、藤村は東北学院で教鞭をとった。
「杜の都」とともに仙台の代名詞と言えるのが、「学都・仙台」。本学の前身、旧制二高、東北帝大を始め、仙台には古くから、多くの学校があった。ここに学んだ学生達からも、多くの文学者が生まれている。彼らの仙台での学生時代を通し、往時の仙台の様子を知ることが出来る。
開館に際しては、多くの蔵書家から寄贈、寄託を受けた。その中には、多くの貴重な資料も含まれている。死蔵していたこれらの資料を発掘する機会になるのも、文学館開設のひとつの意義だと、副館長の境さんは話してくれた。
今後は、多角的な視点からの企画、イベントを目指したいと、境さんは言う。その背景には、中高生まで含めた若い世代にも興味を持ってもらえるものにしていきたい、という考えがある。幸いにして、仙台文学館の学芸員は、2、30代の若手スタッフが中心。どうしても年配の来館者が中心になってしまいがちになる文学館だが、私達の世代にも親しみやすいものになることを期待したい。
「まずは一度、足を運んでみて下さい」と、境さん。現在は、常設展と併せ、開館記念特別展「夏目漱石展~『漱石文庫の光彩』」が開催されている。第一級の漱石関係資料として知られる、本学附属図書館所蔵の「漱石文庫」を中心に、漱石の生涯やその作品世界に迫っている。こちらは、5月16日まで。観覧料は、一般・大学生600円となっている。
(仙台文学館)
バス停「北根二丁目」下車すぐ/開館時間・午前九時~午後五時/休館日・月曜日、祝日の翌日、月末日(日曜、休日の場合を除く)、年末年始/観覧料・一般、大学生400円(特別展の際は別途)
