東北大学新聞:

東北大闘魂列伝強さへの地平線⑥柔道部

313号4面・大学
 武道の中では、国際化がかなり進んでいる柔道。スポーツ化が進む一方、武道としての真髄は生きているのか。それを知るべく、学友会柔道部の道場を訪れた。(313号)

 柔道は、一八八二年に嘉納治五郎が起倒流柔術、天神真揚流柔術から流れを汲み、講道館の創設と共に、創始したものである。しかし、東北大学学友会柔道部において、行われている柔道は、高専柔道と言い、一般的に知られているそれ(講道館柔道)とは異なる。高専柔道はかつて旧制高校や専門学校で行われていたもので、立ち技のない寝技だけのスタイルで行われていた柔道である。柔道技術の中でも、センスに頼る部分が大きい立ち技に比べ、寝技は練習量と技の研究がそのまま実力に反映されると言われている。

 現在の高専柔道は、元来の高専柔道の流れを汲み、立ち技こそあるが、寝技中心の形式を取っている。そのため、ルールそのものにも、講道館とは異なるものがある。代表的なものとして、高専柔道では、寝技への引き込みが認められている。これは、両者が立っている状態から、片方が自ら体を崩し、寝技に移行するというものである。さらに、場外ルールもなく、場外に出てしまった場合は、そのままの状態でまた中心から再開される。それに加え、優勢勝ちがないため、一本を取らない限り、勝ちにはならない。また、寝技を行っている場合、両者が戦意を失わない限り、「待て」はかからない。このため、十分に時間をかけて寝技を行うことができる。

 引き込みには、数々の技があると言う。相手を下から持ち上げ、横に返す横返し。押さえ込みにきた相手をひっくり返す浅野返し。他にも、東北大オリジナルの技だという激流返しという技など寝技の奥の深さを垣間見ることができた。

 実際に、引き込み技を受けてみた。相手が先にお尻をついてしまうため、こっちが有利な気がする。しかし、押さえ込もうと身を乗り出した瞬間に、上体を下に引き込まれ、前方にひっくり返されてしまった。気付いたときには、もうすでにこちらが完全に押さえ込まれていて、もう動くことすらままならなかった。かといって、攻めあぐねていると、上体を崩されて、肘関節を極められたり、締め技を食らったりしてしまう。まさに、蟻地獄に落ちてしまった蟻の気分だった。

 寝技における技術面、それを裏付ける肉体には十分な強さが感じられた。では、柔を学びし者の思う強さとは何か。部員たちからは、様々な意見が見られた。寝技で勝つという、柔道面での強さ。柔道によって得られる強靭な肉体。日々の鍛錬を通して得られる自分への自信。中でも、主将の佐々木さんはこう語った。「柔道の魅力は強い人、実力の均衡した人と闘うことにある。自分の限界、意識を超え、無我夢中で戦う。ぎりぎりの戦いの中でこそ、見えるものがある」。また、主務の高橋さんはこう語る。「日々、強くなりたいと思っている。柔道の枠を超えて誰と戦っても負けない、そんな強さを求めている。そうすれば、自ずと『強さ』というものが分かるのではないか」。

 強さとは必ずしも一つではない。それぞれの選手がそれぞれの強さを思い描き、それを求め、探りながら日々練習に励む。強さとはーーその答えは、自分自身の中にあるものなのかもしれない。

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