東北大学新聞:

本学医学研究科太平洋をまたぐ手術を企画ニューヨークから医療用ロボット操作

本学の医学部附属病院で、医療用ロボットの遠隔操作による、仙台・ニューヨーク市間の太平洋を跨いだ、手術のプロジェクトが立ち上がった。このプロジェクトでは本学附属病院と、ニューヨーク市のマウント・サイナイ病院とが情報通信ネットワークで繋げられる。これを利用してニューヨーク市にいる医師がゼウスのコントローラーを操作し、仙台にいる患者を手術することになる。 (314号)

このプロジェクトを進めているのは医学系研究科消化器外科学分野の松野正紀教授らのグループ。将来の技術革新を視野に入れ、遠隔手術及び、仙台市内での医療ネットワーク構築の可能性の探求を目的として発足された。プロジェクトは昨年の十一月には本学医学部倫理委員会により正式に承認され、今年一月初旬に、厚生労働省との最終的な打ち合わせが行われた。もし、太平洋を横断した遠隔手術が実現すれば、国内では初の試みとなる。

今回、使用される医療ロボット「ZEUS SURGICZL SYSTEM(以下ゼウス)」には三本のアームが装着されており、二本でメスによる執刀や縫合を行う。残りの一本の先端には音声操作可能な高性能カメラが取り付けられる。

手術の映像はデータ圧縮され、NTTの光ファイバーを通じて、仙台からアメリカ・カルフォルニア州サンノゼにある中継点へと転送される。サンノゼからニューヨーク市までの回線はベリゾン社が担当する。

現在、ゼウスは世界に約五十台あり、日本では本学を含め、四台設置されている。本学でも今までにゼウスによる手術が四件行われている。

しかし、仙台・ニューヨーク市間の転送によって、実際の手術とモニター映像に僅かなタイムラグが生じる。この僅かな時間の差が手術の妨げとなる可能性がある。そのため、実際の手術に際しては、医師が常に横に待機し、事故が起きた場合、通常の手術を続行できるようにする。

今回のプロジェクトで実施されるのは比較的単純な胆嚢結石の摘出手術である。今後、技術開発によって、より複雑な手術の実施が可能となり、様々な場面での実用化が成されることを期待したい。

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