東北大学新聞:

東北大闘魂列伝強さへの地平線⑦フェンシング編

314号5面・大学
フェンシング。それは西洋の騎士道における決闘から派生した競技である。一見華やかにも見えるこの競技に秘められた強さとは一体何か。その答えを求め、学友会フェンシング部を訪ねた。 (314号)

フェンシングは、騎士道が栄えていた中世、「身を守る」「名誉を守る」ことを目的として磨かれ、発達してきた剣技である。その後、火器類の発達により、戦いの場での実用性は急速に衰退していったものの、その繊細かつスピーディなテクニックに魅せられる者が多く、競技化への道を歩むこととなった。

 フェンシングは剣の相違によりフルーレ、エペ、サーブルという三種目に分かれている。

フルーレは首、手足を除く胴体部分を有効命中面とし、突きだけで勝負する。決闘から転じたエペはやはり突きだけの勝負であるが、全身が有効命中面である。サーブルの有効命中面は上半身とされている。

 実際に、エペと言う種目を体験してみた。防具を身につけ、剣を持ち、構える。合図と共に、試合は始まったが、なかなか前に踏み出せない。相手の剣が目の前でちらつき、かなりのプレッシャーを与えてくる。うかつに踏み出せば、カウンターを取られてしまう。というのも、互いの剣身がほぼ同じ長さであるため、自分の届く間合いでは、相手も当然届くのだ。威圧感に苦しみながらも、意を決し、思い切って飛び込む。腕を伸ばしきっても、相手には届いていない。それどころか、あっさりと胴を突かれてしまった。

では、自分が迎え撃つ側に立てばどうか。しかし、そのことを察知した相手にジリジリと詰め寄られると、何とも言えない威圧感に圧倒され、思わず後退してしまった。耐え切れずに思わず飛び出す。気付いた時には、もうすでに相手の剣が突き刺さっていた。

 フェンシングでは、心の隙が負けにつながるとキャプテンの石川知由さんは語る。一瞬の油断が命取りになる駆け引きの世界。その世界に身を置く者の思う強さとは何か。石川さんはこう答えたーー「油断のない完璧さ」。コンセントレーションを高めて、一瞬の隙も与えない。決しておごらず、常に全力で戦いに臨む。

 心の隙。それは強さを求める上ではあってはならない。油断、おごりなどの邪念を振り払い、心の隙をなくした時、人はまた一歩「強く」なれるのかもしれない。

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