本学院生転落死調査委が結果を発表
二〇〇〇年十一月二十九日、文学研究科前期課程の大学院生近藤則晃さん(当時二十六歳)が文学研究科研究棟五階東側の非常階段より転落し、死亡するという事故が発生した。この事故を受け、研究科内に「事故調査委員会」が設置された。事故原因の調査と再発防止策の検討がその目的である。また、昨年十一月には広報№二〇三(臨時号)で調査結果が発表された。 (314号)
近藤さんの転落事故の推定要因は、修士論文作成に対する不安・焦燥感である。当時近藤さんは神経症による抑鬱状態にあり加療中であったことも考え合わせると、相当な不安を感じていたことは容易に推察できる。近藤さんの神経症についてはいくつかの原因が考えられるが、他大学他分野からの編入であったこともあり、研究室にうまく馴染めなかったことも一因となった可能性がある。
今までも本学においてこのような事故は起こっていたが、文学研究科で調査委員会が設置されたのは今回が初めてだ。今までのケースでは遺書が用意されているなど、原因がはっきりしていた。しかし、近藤さんの場合遺書や書き置きがなく、死の直前まで修士論文の改訂作業を行っていたことなどから、原因を特定することができなかった。このことから近藤さんの遺族から弁護士を通じて事故についての調査の依頼があり、事故調査委員会が設置されるに至った。
今回広報で事故の調査結果を公にしたのは、このような事故の再発がないように、東北大学全体で考えてもらえれば、という近藤さんの両親の意思を受けてのことである。この他にも事故の再発防止に向けて文学研究科では様々な対策を講じている。昨年度から新入生オリエンテーションでは、学生相談所から講師を招いて学生相談についての説明を行っている。さらに昨年十二月には、メンタルヘルスの専門家である茨城大学名誉教授(元保健管理センター所長)中島潤子氏による教職員研修会も行われた。これからは各研究室で長く大学に来ない学生などに小まめに連絡を取るよう呼びかけて行くという。
