東北大学新聞:

本学在り方検討委員会東北大学の新理念発表伝統的理念を生かした形に

昨年十一月二十日の評議会で、東北大学の理念に関する報告が承認された。この報告は東北大学の在り方検討委員会(委員長・馬渡尚憲副学長、以下在り方検討委員会)が作成したもので、翌二十一日から施行されている。 (315号)

本学が理念の見直しを検討し始めた背景には「研究第一主義」、「門戸開放」、「実用忘れざるの主義」といった本学の伝統的理念の表現が、もはや時代に即さなくなったことがある。また、国立大学に目標評価システムが導入され始めたことも、理念見なおしの大きなきっかけとなった。

目標評価システムは、大学の掲げる理念に対してどのような行動が取られたかを、大学評価機構が評価するもの。国立大学が独立行政法人化された後、予算の配分にその評価が反映される。このことから、理想としてではなく、実際の行動に対して規制力のある理念の作成が求められていた。

 在り方検討委員会が理念について議論を始めたのは、昨年四月のこと。中間報告では評議会のほか、各部局からも意見を集め、十一月二十日の最終報告に至った。

 この報告では新たな理念に加えて、これまでの伝統的理念の扱いについても言及している。本学創立以来約九十年の歴史を有していること、また、本来いわんとする精神は今でも尊重されるべきであることを考慮して、伝統的理念はこれからも本学の理念として残すことになったという。

新たな理念ついては、伝統的理念の精神を生かし、かつ目標評価システムや広報で有効に機能するという前提のもと、話し合いが進められた。伝統的理念と区別するために、新しい理念は「使命」、「方針」、「目標」といった言葉で表されている。

この三つの言葉にも違いがある。「使命」は本学の任務を現実面と規範面一体で述べる場合に用いている。「目標」は長期目標の意味で、十年というような期間に達成しようとしている目標を、「方針」は「使命」を達成する手法的な目標を示す言葉としている。

 「研究第一主義」の精神を生かし、これを現代に蘇らせる表現として「研究中心大学」が採用された。この言葉は本学の「使命」と定められ、大きく分けて三つの意味①総合的な知の拠点として、広範な分野の研究教育を行う②知の創造の拠点として、つねに世界的な研究成果を生み出していく③知の継承と普及の拠点として、高い専門性と行動力のある指導的人材を育てるとともに、人々の幸福に貢献する―を含んでいる。

 「門戸開放」は、現代において有効に機能させるために、「世界と地域に開かれた大学」と改正された。これは本学の「方針」となる。コンセプトは①国の内外から国籍、性別などのいかんによらず、学生や教員を迎え入れる②社会や地域との連携研究を行い、研究成果を社会に還元する③市民への開放講座で、教育による社会貢献をする④地域の人達が利用できる公園キャンパス、「ユニバーシティパーク」を作る―である。

 「実用忘れざるの主義」は、社会との連携を行うという意味で、「世界と地域に開かれた大学」の「方針」に含まれることになった。

 これら伝統理念の見直しに併せて、在り方検討委員会は教育理念を本学の「目標」として報告にまとめた。本学はこれまで、全学の場で「教育目標」について議論した事がなく、人材の育成方針が不明瞭だった。報告では、本学の「教育目標」を①豊かな教養と人間性を持つ人材を育てる②学部教育においては、基礎的な専門知識を備え、国際社会で通用する人材を育てる③大学院教育では、研究者を養成する一方、高度の専門的知識を有した職業人を育てる―としている。

 今回定められた本学の新しい理念を実践するには、いくつかの課題がある。「教育目標」を例に取ると、学部教育において国際社会で通用する人材を育てるとしているが、そのためには全学教育のカリキュラムを改正していく必要がある。

馬渡尚憲副学長は新たに作成された理念について「今後の大学改革はこれに従ってなされていくだろう」と話す。在り方検討委員会では、今後も理念について話し合いを行っていくという。

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