COEプログラム本学から4分野5件が選定
十月、「21世紀COEプログラム」(以下、COE)の採択結果が日本学術振興会より発表された。本学では申請した十二件のうち、四分野五件の研究計画が選定された。東京大学・京都大学の十一件、名古屋大学・大阪大学の七件に続き、採択件数では全国で五位となる。 321号
COEは世界トップレベルの大学の育成を目的とした文部科学省の計画。全国の大学からの申請をもとに、COEで規定された分野ごとに約二十件の研究計画を選定し、資金の重点配分を行う。
本学で選定された研究計画は、「バイオナノテクノロジー基盤未来医工学」(生命科学分野)、「大分子複雑系未踏化学」「物質創製・材料化国際研究教育拠点」(化学・材料化学分野)、「新世代情報エレクトロニクスシステムの構築」(情報・電気・電子分野)、「言語・認知総合科学戦略研究教育拠点」(人文科学分野)である。申請対象の五分野のうち、最も競争の激しかった「学際・複合・新領域」分野では、すべて選考から漏れた。
研究計画の実施は研究部局の壁を越えて立ち上げられた学際的な研究グループによって行われる。この各研究グループの事業には文部科学省から年間一~五億円の研究・教育資金が五年間助成されることになる。
今後は、海外の優秀な研究者を誘致したり、民間や他大学の有識者を含めた外部評価委員会の定期的な視察を受けるなどして、研究目標の達成を目指す。
また、高度な研究と同時に、優秀な研究者の育成にも重点が当てられる。COEに選定された専攻・研究室の博士課程の学生を対象として、奨学金の給付、優秀な学生に対する授業料の免除、海外留学の支援などが行われる。
本学は五年後、選ばれた研究プログラムを現在の担当研究部局から切り離し、新たに設置される予定の国際学際高等センターの統一事業としてまとめる予定。これによって、COEの助成が終了する二〇〇七年度以降も五つの研究教育計画を重点的に継続させていく意向だ。
今回、「生命科学」分野で選定された「バイオナノテクノロジー基盤未来医工学」では、佐藤正明工学研究科教授を中心に、医学研究科など複数の部局が参加をしている。ナノ技術など先端工学の医療への応用を目指す。実用化されれば、人工感覚器の開発や生体組織の再生への大きな躍進となる。
一方、「化学・材料化学」分野では二つの研究教育プログラムが選ばれた。一つは山本義則理学研究科教授を中心とした「大分子複雑系未踏化学」の計画である。通常分子と高分子の中間的な大きさを持つ大分子の総合的な研究を行う。バイオ医薬開発などへの応用が期待される。
もう片方は、「物質創生・材料化国際研究拠点」の計画。井上明久金属材料研究所所長を中心に、より優れた性能を持った全く新しい物質の開発を行う。
「情報・電気・電子」分野で選定されたのは内田龍男工学研究科教授らによる「新世代情報エレクトロニクスシステムの構築」である。ナノテクノロジーによる半導体・ディスプレイなどの開発を基盤として、高度情報通信社会に即したIT研究を行う。
今回、唯一の文科系となった「人文科学」分野では、国際文化研究科の堀江薫教授らの「言語・認知総合科学戦略研究教育拠点」が選ばれた。幼児期の言語習得と脳の発育との関係などを明らかにすることで、新たな言語科学の創生を目指す。今後、研究が進めば、教育や臨床医学の現場での応用も見込まれる。
COEは、昨年度、遠山敦子文部科学大臣が「トップ30大学」として発表し、今回は第一回目の採択となる。大学間に競争を促すことで国全体の大学レベルを底上げさせようというのが狙いだ。「COEに選定される最大のメリットは名前が上がること。選ばれれば、国際的に有名になり、より優秀な人材が本学に集まるようになる」と中塚勝人工学研究科長は語る。
しかし、選考の審査基準が未だに明らかにされていないことに対し、学内では不満の声も上がっている。今回落選した研究部局の関係者は「旧帝大が上位を独占するなど、過去の実績ばかり重視されている。本当に、将来性を見据えた審査をしているか疑問だ」と語る。
