東北大学新聞:

本学電気通信研究所高密度記憶媒体の開発へ

 本学電気通信所の長康雄教授は、従来の百倍の容量を誇る記憶媒体の研究を進めている。その内容は、記憶媒体の素材として現在、一般的に使われている磁性体を強誘電体に置き換え実用化させることだ。

321号

磁性体を使用した記憶媒体は、N極とS極の二種類の状態を組み合わせることによって情報を記録する。これは、現在CDやハードディスクなどに、広く応用されている。この記憶媒体の記憶密度の限界は、一平方インチあたり約一テラ(一兆)ビットと言われている。

一方、強誘電体を使用した場合、N極とS極に替わり電荷のプラスとマイナスによって情報を記録する。この場合の記憶密度の限界は、一平方インチあたり約一ペタ(千兆)ビット。そのため強誘電体を記憶媒体として利用し、記憶容量を飛躍的に上げることが可能だ。

 強誘電体を記憶媒体として使用すれば、記憶密度が増加するということは以前からも言われていた。だが、現在でも実用化までには至っていない。その理由は、強誘電体を使用して作られた記憶媒体から情報を読み取ることが困難であったためである。

記憶媒体として使用した場合、磁性体は試料の表面に磁界が発生しているので、それを利用して情報を読み取ることができる。しかし、強誘電体は、試料の表面に電界が発生しないので電荷の状態が調べられず、情報を読み取ることができなかった。

一九九四年、長康雄教授は電荷の状態を調べる装置としてSNDM(機械操作型非線型誘電率顕微鏡)を開発した。当時、これは記録装置に使用するには高密度の情報を読み取る精度があまりにも低かった。だが、現在では研究が進み、電荷の状態を非常に正確に見ることができる。そのため高精度で情報を読み取ることが可能となり、強誘電体を情報の密度が高い記憶媒体に応用することが可能になった。

現在、研究の進行状況は、情報を読み書きできる記憶媒体の試作品を開発している段階である。しかし、実用化のためには、情報を小さい面積に大量に書き込む技術のさらなる向上が必要だ。また、その大量の情報を読み取るためには、記憶媒体が非常に薄くなくてはならない。高性能の製品作成に向けて、これらの課題の解決が、研究の上で目指される。

長康雄教授は「現在の五十倍から百倍の記憶密度を持つものを、五年後には実用化できるようにしたいですね」と語った。

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