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本学工学研究科 新型の水素発生手法を開発 硫化水素と光触媒を利用

本学大学院工学研究科の田路和幸教授が、硫化水素を用いた新しい水素発生手法を開発し、注目を集めている。また新しく開発された光触媒を組み合わせることで、効率良く水素を発生させることが可能となった。 321号

水素は燃料電池として自動車などに利用できるため、石油に取って代わるクリーンエネルギーとして利用価値が高まっている。

 水素を発生させる方法として、今までは水を電気分解して水素を発生させていた。しかし今回、田路教授が開発した手法では水の代わりに硫化水素を用い、また分解を助けるために新しく開発された光触媒を用いている。この光触媒を硫化水素に入れ、太陽光を当てると水素が発生するというしくみになっている。

今回の水素発生手法のメリットは、水素を発生させる際に使うエネルギーを抑えることにある。硫化水素の分解エネルギーは、水の分解エネルギーの半分程度であるため、その分水素発生にかかるエネルギーが小さくなる。

さらに、今回の手法では塩素ガスの発生がないため、溶媒として海水の利用が可能であるなど多くのメリットがある。

 しかし、硫化水素を用いると、水素を発生させると同時に有害な硫黄が発生してしまう。これに対し田路教授は微生物、地熱エネルギーを利用し、硫黄を再び硫化水素に戻す硫黄循環システムを構想している。

硫黄還元の能力のある微生物はごみ、水、硫黄を取り込み、硫化水素を発生させている。また、火山地帯などでも硫黄との熱水反応により硫化水素が発生する。

それらを供給源とすれば、エネルギーを消費せずに硫黄を硫化水素に戻し、再び水素製造に使うことができる。これにより硫黄が循環し硫黄の増加を防ぐこととなり、環境を考慮した水素発生システムとなる。

また、水素発生の高効率を可能とした光触媒の存在も、今回の水素発生手法の特徴である。これは、ストラティファイド(層状)光触媒と呼ばれるものである。

酸化カドミウム(または酸化亜鉛)をアルカリ溶液中で硫化水素と反応させると、硫化カドミウムが析出する。この硫化カドミウムは、卵の殻状に酸化カドミウムを取り囲む。これに光を当てると、殻の内側にカドミウムがつき層状となる。その後残った酸化カドミウムを、酸性溶液に浸けて取り除き、カプセル状の触媒が完成する。

今後、来年新設予定の環境科学研究科の屋上に水素製造や硫黄循環のトータルシステムのミニチュア版を作り、長期的に実験することを考えているという。このシステムのミニチュア版は実際の一万分の一サイズで、硫黄の循環がうまくいくか、触媒の耐久性などを課題として研究を進めていくという。

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