東北大学新聞:

フランス滞在記 フランス人と労働

フランスは女の子の憧れの国だ。お上品なフランス語に、華やかなファッション界、フランスパンにカフェ・オレ・・・。そんな勝手な偏見に後押しされ、フランスに降り立った私が見たものは、豊富な移民に汚い舗道、変な漢字が書いてある服を着たパリジェンヌ・・・。とはいえ、よその国とは楽しいもので、日本との違いを見つけては面白がる毎日だった。そんななか、就活前の私を唸らせたのが、フランス人の働きっぷりだった。 321号

一般に、フランス人はバカンスのために働く、と言われている。つまり長期休暇で心置きなく遊ぶために、一年間頑張って稼ぐのである。要は自分のために働くのだ、という意識がとても強い。だから具合が悪ければ無理をしない。医者の診断書があれば、会社を休んでも有給になるように法律で定められているからだ。だから無理な働き方はしないし、働く姿も往々にして楽しそうだ。

昼下がりの小さなカフェに行くと、暇そうなウェイターが常連客と無駄話をしている。無理に仕事を探さないのが、フランス流だ。これは知人の話だが、あるカフェテリアに彼が入ったところ客がほとんどおらず、店の人は堂々とカウンターで昼食を取っていた。店の人にエスプレッソが欲しいと告げたところ、自分で淹れてくれ、とやり方を説明された。彼がそれに従うと、店の人はさわやかに、じゃあ明日からは自分でやってくれと言ったそうだ。フランス人はこういうときに悪びれもせず、卑屈にもならない。店の人が休憩をとるのも、休憩中に働かないのも当然で、それは客が居ても関係ないのだ。

また、ほとんどのフランス人は決して日曜に働こうとはしない。キリスト教の安息日だからだ。何も考えず、日曜にふらりとホテルを出ると、昨日とはガラリと変わった活気のない街が広がっている。人影は非常にまばらで、今まで気にならなかった舗道のタバコの吸殻や犬の糞がやたらと目につく。店はどこも閉まっていて、やることもないので、興味もない美術館に足を運ぶことになる。日本人はやたらと美術館を回っていて、本当に絵画が好きなんですねと、あるフランス人は言っていたが、その見解は間違っている。多くの日本人観光客が週末に美術館に行くのは、この退屈な日曜の使い方が分からないせいだと私は思う。そもそも日本人としては、折角ヨーロッパに来たのに、日曜とはいえ、フランス人のようにゴロゴロするなんて勿体ない、と考えるのが普通だろう。

しかし一方では、休みなく働くエリートフランス人も少数ながら当然存在する。彼らは日本人のように働き、ガンガン儲ける。エリートはその名の通り、選ばれた人間なのだ。そういう人々がニースに別荘を持ったり、モナコでフェラーリに乗ったりするのである。こんな人たちがフランスを支えているので、フランスの庶民は今日も安泰というわけだ。

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