東北大学新聞:

第51回模擬裁判 医療事故の闇を照らす 病院の責任を問う

十一月九、十日の二日間、川内記念講堂において、第五十一回東北大学法学部模擬裁判公演(以下、模擬裁判)が行われた。今回の公演テーマは「一葉の雫~医療事故~医療の生んだ明と暗」で、医療事故の背景をめぐっての裁判劇が公演された。 322号

模擬裁判は、法学部の有志たちで結成された実行委員会が毎年行っているもので、過去には過労自殺やプライバシー問題などがテーマとして取り上げられている。今年の入場者数は、二日間で九四六人に上った。

 劇の主人公である森田勤は、喘息治療のために入院中だった妻・恭子の死に疑問を抱く。そして、妻の死の真相を明らかにしたいと思い、勤は弁護士事務所を訪れた。

 その後、病院側の証拠から、勤は恭子がアスピリン喘息にかかっていた可能性があり、その患者にとって禁忌であるボルタレンが投与されていたことを知る。さらに、その投与方法に過失の可能性があった。そして、勤は恭子の入院先である早川記念病院を被告として損害賠償を求める訴えを起こした。 一方、被告は原告に対して、問診は十分なもので、ボルタレン投与前の検査は必要なかった。また、容態急変後の応急処置も適切なものであったと主張した。そして、原告の請求を棄却するよう裁判所に求めた。

双方の主張を考慮し、裁判所は被告のボルタレン投与方法に過失があったことを認めた。そして、被告に対し七千九万六千二百二十一円を原告に支払うよう命ずる判決を下した。

今回の模擬裁判では、医療事故に関連して、特に以下の二つの大きな問題が指摘された。

一つは、医療事故訴訟で原告が勝訴するのは難しいという点である。医療事故が起こる現場の多くは病室であるため、事実を知る者は病院側の人間に限られる。そのため、原告が証拠を入手することは非常に困難になってしまう。また、一般人や法律家にも分かりにくい医学分野の専門知識が必要である。

実際、今回の模擬裁判のような医療事故訴訟はこの十年間で二倍以上に増えているが、原告が勝訴するケースはまだそれほど多くない。その点、原告の主張をほぼ認めた今回のような判決は少数に属するといえる。

もう一つは、現在の医療事故をめぐる議論に、事故の原因を医療従事者個人の問題に限定する傾向がある点である。事故の原因は個人の責任というより、むしろ医療システムや組織の問題である。    

模擬裁判実行委員長の根城貴乃さん(法学部三年)は「テレビなどの報道では、医療事故を起こした医者や看護婦など、個人の責任を追及しがちであるが、今回の模擬裁判では、病院の組織としての責任を追及したいと思った」と語った。

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