三太郎の小径 ーその由来を探る
川内南キャンパス、本学附属図書館の向かいに、三太郎の小径と書かれた立て札がある。その左手からは、小さな散歩道が続く。 322号
文系学部の学生には見慣れた光景である。しかし、「三太郎」という名称の意味や、散歩道の全容が約三キロにも及ぶことは、あまり知られていない。
三太郎の小径は一九八三年、近代日本を代表する哲学者、故・阿部次郎(本学名誉教授)の生誕百周年を記念して作られた。京都にある哲学の道を意識して構想されたもので、仙台市では阿部次郎記念散歩道と呼んでいる。本学が用いている三太郎の小径の名称は、彼の代表的著作である『三太郎の日記』になぞらえたもの。
三太郎の小径の大まかな道筋は、まず附属図書館の向かいから弓道部の部室横を通り過ぎ、川内記念講堂を巡る。川内南キャンパスの建物を右に眺めながら進むと、支倉常長像が見えてくる。十字路を左に折れ、仙台市博物館へ向かう。中庭にある阿部次郎の記念碑まで辿り着いたら、再び支倉常長像まで戻る。次に植物園入り口へ向かい、附属図書館付近への帰途に着く。約三十分の道程である。
散歩道の名称の由来となった、阿部次郎の著作『三太郎の日記』は、一九一四年に出版されている。作中の人物、青田三太郎の日記を通して、人間としての生き方を問いかけるこの本は、大正、昭和期にかけて多くの青年に影響を与えた。
『三太郎の日記』出版から十一年のちに、阿部次郎は本学法文学部美学講座の教授に就任する。退官後には仙台市名誉市民に推されるなど、仙台市とも関わりが深い。
阿部次郎は散歩を好んでいた、というエピソードがある。散歩中、どのようなことに思いを馳せていたのだろうか。思い悩むことがあるとき、あるいは時間が余ったとき、三太郎の小径へ向かい、阿部次郎が愛した散歩に、出かけてみてはいかがだろうか。
