東北大学新聞:

教職免許取得実態調査 動機は「将来への保険」 過去五年の動向を追う

 ここ数年、教員採用者数は少子化の影響により減少を続けている。それに対し、公立学校における教員採用試験の競争率は上昇を続け、二〇〇一年度には中学校で約十七倍、高校では約十三倍に昇った。こうした状況のなか、本学学生は教員免許に対して、どのような姿勢を見せているのか。過去五年間の動向を中心にまとめる。 322号

本学学部生が取得できる教育職員免許状(以下教員免許)の種類は、大別して中学校教諭一種免許状、高校教諭一種免許状に分けられる。さらに国語、数学など教科によって免許の種類は異なる。

 教員免許を取得するには、教職に関する科目、教科に関する専門教育科目などの中から、それぞれ定められた科目の単位を履修しなければならない。その他、教育実習は必修であり、さらに中学校教諭の教員免許取得を目指す学生は、一九九八年度から介護等の体験が必要となっている。

また、教師として働くためには、教員採用試験に合格しなければならない。筆記試験や実技試験など、試験の内容は多岐に渡る。

 全学教育センターで開講している、教職に関する科目の受講者数は近年、減少する傾向にあった。「教育原理Ⅰ」を例に取ると、一九九八年度に七三六人いた受講者は、二〇〇〇年度には四四九人となっている。特に、各学部の入学募集定員が減り、また教員免許取得のために必要な科目が増えた二〇〇〇年度は、履修者数が前年度より大幅に少なくなった。

これは本学の学生数が減少したことに加え①教員採用試験の競争率が年々高くなっているため、教師を目指す学生が少なくなった②教員免許を取得するための科目が増え、軽い気持ちで履修する学生数が減った―ことが考えられる

 一方、二〇〇〇年度以降、教職に関する科目を履修する学生の数は、あまり変動を見せていない。二〇〇二年度には二〇〇一年度に比べ、多少の増加さえ見せている。

 これと同じ現象は、教育実習履修者数の推移にも見られる。一九九八年度から二〇〇一年度まで、履修者数は毎年十人から五〇人ほど減少を続けていたが、二〇〇二年度において、約五十人の増加を見せる。二〇〇二年度における教育実習履修者は、入学募集定員が減少した、二〇〇〇年度の入学者であるにも関わらず、である。

 ただ、実際に教師になる学生の割合は一貫してあまり変動を見せない。例年、教育実習履修者数の一㌫に満たない数である。なぜ、このような状況が生じるのだろうか。いくつかの要因が挙げられる。

 まず、一セメスターごとに以前より多くの教職に関する科目を履修するため、その後も教員免許をあきらめづらくなったこと挙げられる。次に文学部、教育学部などの学生が長引く不況により、先の見通しがつかない将来への保険として、教員免許の取得を目指すことなどが考えられる。

 例えば、中山修司さん(教育学部三年 仮名)は、教員免許の取得を目指す動機について「親に言われているのが一番だけど」としつつ、「将来的に役に立つかもしれないから」と語る。なお、教師になるかについては、まだ決めていないという。

 教員免許の取得は、本当に将来に有効なのだろうか。免許を獲得したからといって、すぐに教師になれるわけではなく、教員採用試験を受けなければならない。加えて、中学、高校を取り巻く問題、例えばいじめや登校拒否に対応する能力が必要である。安易な動機で務まる職業ではない。

就職雇用者数が減少するなか、何か資格を取っておきたい、という考えが氾濫している。しかし、なりもしない職業の資格を取るのは、時間の浪費ではないだろうか。教職の授業を履修する時間があるのなら、英語など、どの職業にも役立つようなものを勉強する方が、有意義ではないだろうか。

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