’02東北大学祭 Over the GAP!
趣向を凝らした企画で
日ごろの成果をアピール
ー屋内企画ー
屋内企画は大学祭期間中の全日にわたって、川内北キャンパスの各講義棟で行われた。サークルの活動発表、研究室による研究公開、NPO団体の企画展示など多くの企画が催された。 322号
例年と異なり、今年は大学祭前日も川内北キャンパスでは五限まで講義があった。そのため、参加団体は、五限終了時刻まで会場の準備を始められなかった。それでも、各団体とも自分たちの活動をアピールしようと準備し、企画は熱のこもったものとなった。
サークルの活動発表では、多彩な分野からの出展がなされ、来訪者は思い思いの催しに足を運んでいた。地学ゼミナールによる地球博2002では、採掘してきた岩石や化石に魅了させられた子供から大人までの見学者が、賞品つ付きのクイズを楽しんでいた。天文同好会による星見屋では、天体の写真の展示や天文に関するクイズのほかにプラネタリウムも行われ、好評を博した。
研究室発表では、昨年に引き続き多くの研究室が発表や展示に参加した。今年は八つの研究発表が行われ、中でも流体科学研究所の発表ではコンピューターグラフィックスを用いるなどして、見学者がより興味を持てるような趣向が凝らされていた。
またNPO企画は、普段東北大生が触れることの少ない仙台市に根ざしたNPO団体を知ってもらおうという趣旨で、三つの団体の出展が行われた。みやぎ動物介在福祉団体の展示では、犬との触れ合いをテーマに、アニマルセラピーを紹介していた。
ほかにも、手相占いやコンピュータを用いた性格診断、クイズ研究会によるクイズ大会などの参加・体験型イベントもさまざまあり、幅広い世代の来訪者を楽しませていた。特に、お化け屋敷では、順番を待つ人で廊下に長蛇の列ができるほどの人気ぶりだった。
屋内企画では、内容の充実した企画が多く見受けられた。日ごろの自分たちの活動を広く知ってもらおうという努力が実ったのではないだろうか。
活気ある野外ステージ
模擬店の客足も上々
ー野外企画ー
野外ステージ、模擬店といった屋外で行われた企画は、学内外のたくさんの人々でにぎわった。学生をはじめとして、大学の見学を兼ねた中高生や、近隣から訪れた親子連れの姿も多く見られた。
野外ステージでは有志によるバンド演奏が行われ、会場を盛り上げていた。また、そのほかにも学友会合気道部による演武会や学友会落語研究部によるコントなども行われ、大学祭に花を添えた。
二日目の夜には各YOSAKOI団体による演舞が行われた。YOSAKOIとは、高知県のよさこい祭りの踊りを現代風にアレンジしたものである。当日降り出した雨にも負けず、出演者は力強い踊りを場内に披露した。そのような彼ら、彼女らの姿は、観客の視線を集めた。
また、三日目の午後には「東北生変身プロジェクト2002」が行われた。この企画は市内の一流美容師たちが、きれいになりたいと願う女子東北(トンペー)生たちをかわいらしく変身させるというものである。出場者たちは美容師の手によって、見事なまでに綺麗に変身。その姿からは変身前の姿を想像できないほどの変容ぶりだった。変身した彼女たちがステージに上がるたびに、会場からは大きな歓声が沸き起こった。
審査の結果、優勝したのは米城淑美さん。司会者のインタビューに対し、米城さんは恥ずかしそうにしながらも、微笑みながら場内に挨拶をした。
一方、模擬店では、様々な屋台が所狭しと立ち並び、どの店も来場者の呼び込みに余念がなかった。焼きそば、クレープ、フランクフルト等といった定番のもののほか、明石焼きや味噌田楽といった、珍しいものも売られていた。数ある人気屋台の中でも、広島県人会主催の「広島風お好み焼き」の屋台の前には、長蛇の列ができていた。
そのほか、管理棟隣の駐輪場では大学祭初日から三日目までの間、フリーマーケットが行われた。会場内では古着をはじめ、日用品、プラモデル、雑貨などさまざまなものが売られており、客は好みの店の前で足を止めていた。
今年は去年より大学祭自体の来場者数が増加し、屋外の企画にも多くの人が訪れ、活気があふれていた。そのような中で行われた企画自体も、前述したように、盛り上がりを見せた。来年以降の大学祭においても、このように活気のある企画が望まれる。
川内記念講堂は
観客で埋まる
ー柴田淳コンサートー
学祭二日目の十一月三日、本学川内記念講堂で柴田淳のコンサートが行われた。柴田淳は現在急成長中の女性シンガーソングライターである。今年は仙台放送のバックアップ・アーティストに選ばれ、CMにも出演している。
前売り券の売れ行きは好調で、追加販売が行われるほどの人気を集めた。当日、会場には学生から一般市民まで、一,〇六六人が集まり、客席は観客で一杯になった。
開演は午後五時。予定時刻より少し遅れて柴田淳がステージに現れると、大きな拍手と歓声が上がった。ピアノとギターをバックに、まず、『なんかいいことないかな』を歌った。会場に響き渡る、伸びのある歌声だった。
柴田淳は「これほどの人数の前でソロコンサートをするのは初めて」と少し戸惑ってはいたものの、楽しそうな様子だった。彼女の飾らない自然な雰囲気に観客も親しみを感じたようで、「しばじゅん!」と彼女の愛称を呼んだり、「かわいい!」と声を掛けたりしていた。
今回のコンサートでは、これまでにリリースした曲の中から、九曲を歌った。その中で、デビュー曲『ぼくの味方』も披露した。柴田淳は、「これまでいろいろなことがあったが、必ず隣にスタッフがいてくれて、とても支えになった」とデビュー後の一年間を振り返った。
開演から約一時間が経ち、最後の曲になった。締めくくりに彼女が選んだのは『夜の海に立ち…』という曲。これは、ステージ上のスポットライトを夜空に浮かぶ月、天井にあるたくさんの小さなライトを無数の星、客席の拍手を波の音に例え、そんな夜の海に立って歌う自分、つまりコンサートを舞台にした歌だった。そして彼女の歌を最後まで聴いた人への、感謝の歌でもあった。
柴田淳がステージから去っても、客席の拍手は鳴り止まず、アンコールの声が掛かった。しばらくアンコールの声が続くと、彼女はもう一度ステージに上がった。そして観客の声援に応え、中盤でも披露した『片想い』を再び歌った。「いつも片想いばかりしてきたから…」と笑って話した彼女の心が映し出された曲だった。
実体験を通して感じた想いを書いている、という彼女の歌詞は、誰もが共感できるものだった。彼女の歌声をじかに聞き、会場を後にする人々はすっかり柴田淳に魅了されていた。
企画は充実するも
集客に課題
ー後夜祭ー
大学祭三日目となる十一月四日、東北大学祭・後夜祭が野外ステージで行われた。後夜祭では「いきなりっぽい!?東北(トンペー)伝説」が行われた。
参加団体はあらかじめ大学祭スタッフが出した「お題」を一定期間練習し、当日野外ステージ上で日ごろの成果を披露する。成功した団体には景品が出る。観客にはその課題が成功するか失敗するかを予想する○×クイズをやってもらい、その正解数に応じて景品が出た。
「いきなりっぽい!?東北(トンペー)伝説」に参加したのは極真空手部、合気道部内サークル・ボーリング息子、そしてトライアスロン部。それぞれバイクトライアル、リフティング、ダブルタッチに挑戦した。
午後五時半、後夜祭が始まると、野外ステージに設置されたスクリーンには参加した団体の日ごろの練習風景が映し出された。
極真空手部、ボーリング息子がステージ上で次々と「お題」を成功させ景品を手にした。この中では最難関のダブルタッチに挑んだトライアスロン部は惜しくも失敗。しかし会場を沸かせた彼らにも大きな拍手が贈られた。
野外ステージ上で限られた人が課題を披露するだけでなく、観客に○×クイズを出すことで、会場を一体にしようとしたことは、とても良いアイデアであった。しかし野外ステージの周りには数十人程度しか集まらず、積極的に○×ゲームに参加しようとする者はさらに少数であった。広報活動がうまくできていないようにもうかがえ、来年以降に課題を残した。
学生が自らのために
楽しめる企画を期待
ー大学祭総括ー
大学祭期間中は大きな天気の崩れもなく、川内北キャンパスは多くの人で賑わった。今年度の来場者数は二万六千七百四十一人。昨年よりも、七千人近く増加した。「来場者数にも大学祭への関心の高さがうかがえた。活気ある大学祭となり、自分としても納得できる内容となった」と、実行委員長の柴田真太郎さん(文学部二年)は満足そうに語った。
今年は市内の小中学校にもパンフレットを配るなど広報活動を幅広く行った。その結果として、多くの家族連れも訪れ、年齢層の拡大が感じられた。広い年齢層に対応した宝探しやスタンプラリーなどの全学企画は、どの年代の人々にも好評であった。
また昨年に引き続きコンサートの動員数は大学祭スタッフの予想を大幅に上回った。今年は仙台放送のバックアップ・アーティストでもある柴田淳を招いた。チケットの価格が一般のコンサートより安かったこと、さらに柴田淳は仙台放送のCMに出演しており、仙台での知名度が比較的高かったことなどが成功の要因であろう。
その一方で城萩祭の中止などもあり、今ひとつ盛り上がりに欠けるところもあった。例年であれば、学友会応援団主催の城萩祭が大学祭三日目の夜、野外ステージで行われる。東北大生を中心に大変な盛り上がりをみせるこの企画であるが、今年は応援団の人員不足により中止となった。
そのため、後夜祭という形で、この時間帯の企画を大学祭スタッフが運営した。今年初めての試みだったためか、集客力に欠け、観客はステージの周りの数十人程度であり、閑散とした雰囲気は払拭できなかった。
東北大生が非日常である「祭り」を味わう場、羽目を外す場としても大学祭は重要であるのではないか。城萩祭のように応援団のカリスマ性を利用できなかったこともあるが、大学祭の来場者数が多かったことを考えると、祭りが尻すぼみ的に終わった感が否めず残念であった。城萩祭の復活を視野に入れつつ、東北大生が自らのために楽しめるよう企画した祭りの復活が望まれる。
また去年に引き続き、研究室発表の参加も多かった。しかしその専門性の高さのため、一般市民に理解しづらいように感じられるものもあった。本来の目的である一般市民への日ごろの学術成果の披露という点を考えると、もっと分かりやすく説明すべきではなかっただろうか。
東北大生が日常を忘れ大いに盛り上がる場として、日頃の学術成果等を市民に知ってもらう場として、また市民との交流を深める場として、これらをどうバランスよく併せ持った大学祭にしていくのか。来年以降に課題が残されている。
