東北大学新聞:

工学部・工学研究科再編 大学院重点化を促進

 二〇〇三年四月までに、本学工学部・大学院工学研究科の体制が改革されることとなった。工学部では学科が十七から五つに統合され、大学院工学研究科では専攻内容、専攻名称が大幅に再編される。なお、再編後も現学生に対しては従来のカリキュラムによる教育が並行して行われる。改革案は工学研究科教授会で決定され、二〇〇三年度中に評議会の正式な承認を受け、実施される見通しだ。 323

工学部では現在の五系十七学科から五学科二十三コースへと再編される。再編後は、機械知能・航空工学科、電子情報・物理工学科、化学・バイオ工学科、材料科学総合学科、建築・社会環境工学科の五学科に分かれる。さらに、この五学科の下に、それぞれ複数のコースが再編成される。(左図参照)

現在、工学部では機械・知能系、電子・応物・情報系、化学・バイオ系、マテリアル・開発系、人間・環境系の五つの系それぞれの下に、学科が分かれている。今回の再編では系がそのまま学科に移行し、従来十七に分かれていた学科が二十三のコースへ統合・再編される。二〇〇四年度より、入学試験は系別募集から学科別募集へと変更される。また、学生の各コースへの配属は二年次に行われるようになる予定だ。

統合後は新しい学科に応じたカリキュラムの再編成を行う。幅広い分野への知識・応用力の養成を目指し、基礎科目を充実させる。新カリキュラムの導入は機械・知能系や人間・環境系など、一部の系で二〇〇三年度より実施される。工学部全体での新カリキュラムの本格実施は二〇〇四年度以降となる予定だ。

また、改革にともない、工学部の定員も削減される。二〇〇三年度入学では工学部全体で計三十五人の削減となる。学部の学生数を減らすことで、教官の研究教育の重点を大学院に移すためである。

大学院研究科でも二〇〇三年四月から専攻の統廃合により、大幅な研究教育体制の再編が行われる。新しく、バイオロボティクス専攻が立ち上げられ、また、電気・通信工学専攻が二専攻に分かれる。さらに、地球工学専攻、材料化学専攻の二専攻が廃止される。そのほか、機械知能工学専攻など六つの専攻で名称が変更される。

バイオロボティクス専攻は医学系研究科と工学研究科と共同で新設される。バイオナノテクノロジーなど機械工学研究の医療現場での応用を目指す。学部組織を持たない大学院のみの独立専攻となる。

また、電気・通信工学専攻が電気工学専攻と通信工学専攻に分離・独立する。従来、一専攻で行われていた、電気工学、通信工学の二分野の研究がそれぞれ独立した部局で行われるようになる。近年の電気通信工学の研究領域の拡大傾向に対応するのが目的だ。

さらに、地球工学専攻、材料化学専攻を母体として、新しく環境科学研究科が工学研究科から独立する。理学、農学、経済、国際文化研究科を加え、文理融合した全学的な組織となる。効率的なリサイクル技術の開発など、環境問題の研究を多岐の分野に渡って行っていく。

今回の再編は、工学研究科が以前より進めてきた大学院の予算・組織などの拡充・重点化をさらに推し進めたものだ。二〇〇二年には今回の大学院整備に先駆け、技術社会システム専攻や先端学術融合研究機構が新設された。大学院の研究体制を整備することで研究レベルを向上させるのが目的である。

技術社会システム専攻は、工学研究科を中心として文学、法学、経済学研究科、未来科学技術共同研究センターなどと共同で新設された。技術政策、知的所有権、危機管理、経営などの研究教育を通し、ベンチャー産業の経営者の育成を目指す。

先端学術融合工学研究機構は工学研究科を中心として全学共同で設置された研究組織である。エネルギー、情報通信、ナノテクノロジー・材料、生命・医用工学、システム科学、プロセス科学、都市再生・環境工学、フロンティア工学の八領域について、研究部局同士の連携を強化するのが目的である。二〇〇三年には統一した研究施設を建設する予定だ。

二〇〇四年より、本学を含め、全国の国立大学が一斉に法人化される。国による経営面での保護が無くなり、予算・運営面での大学間競争が激化することが予想される。工学研究科にとって、今回の改革を契機として、より一層の研究の充実を行っていくことが今後の課題となる。

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