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本学流体科学研究所 エッチング用新ガス開発 次世代LSIへの利用も視野に

去年十月末、本学流体科学研究所・寒川誠二教授のグループが、NECと共同で新しい半導体エッチング用ガスを開発したことを発表した。このガスを用いると、従来に比べて精度の高いエッチングが可能である。また、現在エッチングに用いられているガスの問題点である地球温暖化効果も小さいなど、いくつもの長所がある。 323号

エッチングとは、半導体製造過程のひとつであり、半導体の基盤となるケイ素の表面に塗った酸化ケイ素に、半導体の回路などを埋め込む穴を空ける作業である。エッチング装置に半導体とガスを入れ、電界をかけることで、酸化ケイ素をエッチングするプラズマ粒子と、エッチングする必要のない部分を保護する粒子とが生成される。

高性能な半導体になればなるほど、微細なエッチングが要求される。しかし、現在用いられているPFC(パーフルオロカーボン)を用いた場合、エッチング時に生成するプラズマ粒子数の制御が難しい。したがって、保護するための粒子が過剰に生成し、これが穴に堆積してエッチングが進まなくなる。このため、ある程度以上小さな穴を空けることができず、PFCを用いて半導体の性能を向上させることには限界があった。

今回開発されたガスは、テトラフロロエチレンとヨウ素化トリフルオロメタンの二種類のガスを主成分とする。このガスをエッチング装置に入れると、トリフロロカーボンイオンとジフロロカーボンラジカルという、二種類のプラズマ粒子が作られる。これらのプラズマ粒子が最も効率よくエッチングを進められる、ということを発見したのも寒川教授らであり、今回はその知識を応用した。

このガスを用いたエッチングでは、従来のガスの場合の場合とは異なり、エッチング装置に入れるガスの量を調節する事で、生成するプラズマ粒子のバランスをうまく制御できる。このため、不必要な粒子が生成せず、最小で五十ナノ(ナノは十億分の一)メートルの穴を空けることも可能であるという。これは、次世代LSIの製造に必要とされる百ナノメートルレベルの穴を空けることが可能になり、今後二十年間はこのガスを使って半導体の性能を上げ続けることが可能だと寒川教授は語る。

また、今回開発されたガスを用いたエッチングには、従来のエッチング装置をそのまま使うことができる。そのため、新たな装置を導入する必要がなく、コストの面でもメリットがある。加えて、今回開発されたガスの地球温暖化効果は、PFCの約八七〇〇分の一であり、さらに、フロンガスのようにオゾン層を破壊することもない。

PFCは、現在国内で年間約千二百トン排出されており、半導体製造に伴う排出が増えてきている。一方で、PFCは九七年の地球温暖化防止京都会議で排出規制対象に加えられた。これを受けて、PFCを製造する企業は二〇一〇年までにPFCの排出をゼロにすることを目標としている。そのため、PFC代替ガスの開発は急務とされていた。

新開発のこのガスの量産については、現在NECが実験中であり、ニ、三年のうちに実用化される見込みであるという。

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