有朋寮廃寮問題 対立する寮生と大学
本学学寮の一つである有朋寮は二〇〇一年九月に、今年三月末をもって廃寮となることが決定されたが、代替施設となる新寮は未だに建設されていない。また廃寮化に強く反対している一部寮生は四月以降も在寮し続けるとしており、有朋寮を巡る大学側と寮側の争いは今後さらに激しくなると思われる。
お祝い号5面・大学
▼新寮建設を巡って
一九五三年に建設された有朋寮は以前から老朽化が指摘されていた。八九年頃から有朋寮の建て替えを求める声が寮側から上がり、九〇年代半ばから建て替えが検討された。当初、大学側は寮側との合意の上で新寮を建設し、それから老朽寮を取り壊すという方針をとっていた。大学側は九四年十二月に「新寮建設計画案」を作成し、寮側に提示し、初の交渉を行った。この中で両者は、新寮建設が必要であること、そして新寮を男女学生と留学生の混在寮とする点では合意に達した。しかし、以下の点では両者の意見は真っ向から対立した。
大学側は新寮建設に必要な予算の獲得において、いわゆる「新寮建設四条件」が必要であるとしている。すなわち大学側による「管理運営規定」の適用、私生活費の自己負担、居室の個室化、食堂の不設置である。それに対し寮側は、「管理運営規定」の導入は寮の自治の破壊であると主張。食堂の設置や居室を二人部屋とすることも学寮には必要であるとして、「新寮建設四条件」には断固反対してきた。
九五年から九七年にかけて、大学側と寮側は新寮建設に向けて、五度の団体交渉を行った。しかし新寮の内容を巡る両者の主張は平行線をたどったままに終わった。
その後、九七年には電気料問題(※)が起こった。その解決が急がれたこともあり、新寮建設に向けた動きは二〇〇〇年までほとんど見られなかった。
しかし二〇〇〇年九月には、本学学寮の一つであり、有朋寮と同じく老朽化の激しかった昭和舎が火災で全焼した。さらに二〇〇〇年十一月には「二十年以内に宮城県沖で大地震が八割の確率で起こる」という政府の発表があった。このことは、老朽化した有朋寮の危険性をますます認識させることとなった。しかし、電気料問題が解決した後も、大学側と寮側の交渉は行われず、新寮の建設計画は一向に実現するめどが立たなかった。
▼廃寮化決定と寮側の主張
二〇〇一年九月、本学評議会は有朋寮の入寮募集即時停止と二〇〇三年三月末での使用停止を決定した。
この廃寮化決定は当初の方針を覆し、代替施設となる新寮がないまま行われた。しかも事前に寮側との意見交換もなされなかった。これについて大学側は、有朋寮生の生命・身体の安全を最優先に考え、有朋寮の現在の危険な状態のまま、これ以上放置できないと判断したためだとしている。また、単独で決定したことについても、事態の緊急性から、決定の過程に必要以上に時間をとるべきではないとの考えを示した。
この様な大学の決定に対し、有朋寮は一方的に決定を下した大学側の態度を激しく非難している。また、日就寮や東北大学学生寮自治会連合、学生自治会などの団体が有朋寮に賛同して、これまで廃寮化反対活動を行っている。
寮側が廃寮化反対を主張する上で根拠としていることは、今回の廃寮化決定が「新寮なき廃寮」だということである。二〇〇〇年九月に昭和舎が焼失し、さらに有朋寮が廃寮となることで、本学学寮の受け入れ人数が二百人以上減少することになる。昨年五月には、大学側から具体的な新寮の計画案が公表された。しかし新寮建設に必要な予算が、まだ文部科学省から認められておらず、現在に至るまで建設のめどが立っていない。寮側は、このことが経済的弱者の就学機会を奪い、平等に教育を受ける権利を阻害していると主張している。
また寮側は、今回の決定が大学側の独断によって行われ、寮生側が廃寮化決定のプロセスに一切関われなかったという点も厳しく追及している。本学学寮は一切の管理運営を寮生自身で行う「自治寮」であり、寮生の意見を無視した、大学側のこの様な決定はまったく根拠がないとしている。また一方的に決定を下した大学側の態度が、学生自治を潰すものだとして、強く非難している。
▼廃寮化決定後の動き
廃寮化決定に反対する寮側は二〇〇一年九月以降、署名活動や川内北キャンパスでの集会、四度のハンガーストライキなど活発に反対活動を行っている。
二〇〇二年四月には、本学理学部に入学した学生が有朋寮に入寮するという事態が生じた。これに対し大学側は、有朋寮を退寮するよう再三通告したが、この学生は在寮し続けた。そのため今年二月に本学評議会がこの学生に対する停学処分を決定している。
大学側は、当初の予定では有朋寮の取り壊し時期を今年四月としていた。しかし今年二月の時点で、有朋寮には十数名の学生が在寮している。彼らは、在寮期限の切れる四月以降も有朋寮に在寮し続け、反対活動を行っていくとしている。そのため取り壊し時期の大幅な修正を余儀なくされることは避けられない状況である。
(※)電気料問題 有朋・日就の二寮が電気料の寮生支払分の是正に応じなかったため、大学側は九九年二月に二寮の入寮募集停止を決定した。その後、二寮が是正に応じたため、二〇〇〇年二月に募集停止は解除された。
