仙台城址、国史跡に指定 理学部付属植物園も対象
今年一月、仙台市が本学理学部附属植物園の天然記念物区域を含めた仙台城跡の一部を国の史跡指定として文化庁に申請した。本学文系キャンパスのある二の丸跡など、今回の指定の対象とならなかった区域についても市や文化庁では今後の指定を長期的に目指していく方針だ。これに対し、本学ではあくまでも文系キャンパスの指定には同意しないという姿勢を示している。キャンパスが国史跡指定されれば、土地利用に大幅な規制が加えられるためだ。市と大学、それぞれの思惑を探る。324号
今回、市が文化庁に国史跡として申請をしたのは仙台城跡一〇三㌶のうち、市有地(八㌶)、本学理学部附属植物園の天然記念物区域(三八㌶)、東北財務局所管の国有地(二〇㌶)を含んだ六割強の範囲。今夏までに正式な指定を受ける見通しだ。
▼ 仙台市念願の史跡指定
江戸時代より城下町として発展してきた仙台にとって仙台城跡は街のシンボルでもある。しかし、全国に約四十ある江戸時代大藩の城郭で国の史跡指定を受けていないのは仙台城と金沢城の二つだけ。仙台城跡の国史跡指定は仙台市長年の念願でもあった。
国の史跡指定を受ければ、格好の観光PRとなる上、国から史跡の保存・整備の資金的技術的な支援を受けることができる。しかし、仙台城の国史跡指定には大きな難題があった。
従来、文化庁は国史跡の指定には城跡全域を一括して指定するという方針を持っていた。しかし、仙台城の所有者は仙台市の他に、東北大学、護国神社、国など複数にまたがっている。国史跡指定のためには全ての土地所有者の同意を得る必要があった。そのため、国史跡指定の試みは長い間、足踏み状態だった。
だが、二〇〇一年状況が一変した。仙台城と同様、土地所有者が複数にまたがる大分県大友氏館跡について文化庁が史跡の一部を先行的に指定を認めたのである。文化庁が従来の史跡の全域一括指定の方針を撤回させたことから、市でも仙台城跡の部分的な国史跡指定について文化庁との交渉を始めた。昨年文化庁から内諾を受けた。国史跡指定の見通しがついたことから、今回、市は土地所有者の了承の得られた範囲について指定の要請へ踏み切った。
市では今回の国史跡指定を見送った護国神社、文系キャンパスの区域についても将来的な指定を目指していくという方針である。今後の史跡指定について市の教育委員会ではこう語る。「文化庁ではあくまでも一部地域を先行して国史跡指定することは止むを得ないという考え方だ。いずれは仙台城跡全域の指定に向けて努力していかなければならない」
▼ キャンパス計画に難題
今回の申請にあたり市は昨年十月、本学に対し、キャンパスの国史跡指定へ協力を要請した。本学所有地の中で仙台城跡に含まれるのは、二の丸跡の上に建てられた文系キャンパスと理学部附属植物園の領域。本学は市の協力要請に対し、植物園の天然記念物区域についての国史跡指定のみ承諾した。だが、文系キャンパスについては「今後も国史跡指定区域の対象とされないよう」にと、市側に要請した。
今後、文系キャンパスが指定範囲とされた場合、文化庁による厳しい規制の下で、キャンパス内の整備や新しい施設建設などが抑制される。また、史跡の調査や復元保存の事業についても文化庁の指示に従わなければなくなり、本学の研究教育に大きな負担や障害となるからだ。「本学が国史跡指定を承諾できるのはあくまでも植物園地域のみ。研究教育を行う以上、今後も二の丸跡の指定には同意できない」と大学関係者は説明する。
将来的な仙台城跡全域を目指す市。文系キャンパスの国史跡指定に否定的な大学。両者の主張は平行線を辿ったままだが、市側は本学の立場に最大限配慮する姿勢だ。
市では今後の指定について、あくまでも本学の同意がない限り史跡の申請は行わないという方針である。本学との指定に向けた早急な交渉も現在予定していない。市では全域指定をあくまでも長期的な課題としながらも、今後は大学と二の丸跡の保存・調査を通して連携を深める方に重点を置く構えだ。
しかし、本学にとって国史跡指定に加え、厄介な問題が文系キャンパスの地下に眠る埋蔵文化財の存在だ。本学では昨年、埋蔵文化財保護のため今後、文系キャンパスでの施設の建設・開発を規制する方針を打ち出した。図書館の拡張工事など既存施設の増改築に対し工法や建築位置などについて大幅な規制が加えられることになる。また、現在建設が計画されている文系総合研究棟などの新施設についても、今後は全て川内北キャンパスに一極集中させることとなる。
本来なら貴重な歴史的遺産である仙台城跡。皮肉にもそれが本学のキャンパス運営の足枷(あしかせ)となっている。
