東北大学新聞:

料理名だけで料理を作ってみよう

 この春引越しを決めた部員D。食事つきのパンションを出て、自炊生活を始める決意だ。しかし部室での会話中に大きな問題点か浮上した。彼の調理経験は学校での調理実習のみ。味噌汁の味噌まで計らなければ作ることができないと言うのだ。

 毎日の料理をいちいち料理の本を見ながら計って作っていたのでは自炊の続くはずがない。そこで仲間想いの数人が、料理の特訓に付き合うことにした。
 調理の基本は何とか分かるという彼の主張を信じ、今回はレシピを見ないで作る特訓だ。「愛の○プロン」のように、課題を出し、材料の買出しから調理まですべて自分で考えてやる事になった。もちろんまずかったら材料費はD持ち。評価も厳しくなり、技量があがるというものだ。(あぁ、なんてDは愛されているんだ。)
 さて、Dに出された課題は「ミネストローネ」。みんなが飲み会明けで朝ごはんを抜いてきているある日の昼に作ることとなった。
 Dが買ってきた材料はカットトマトの缶詰、トマトピューレ、たまねぎ、人参、ベーコン、乾燥パセリ、赤ワインの全7品目。調味料は部員がかき集めてきた様々なものから選んで使うことになった。
 早速調理開始。怪しい手つきで野菜を切っていく。「人参はさいの目だよね~♪」等と言いながら、出来上がったものは明らかにいちょう切り。「あ、あきらめたんだよ」と逆切れだ。野菜を切るのに30分近くかかっているため、空腹のカンちゃんが「腹減ったじゃねぇかー。早く作れよー。食わせろよー。」とつぶやき始めた。
 さて鍋に材料を投入する。「たぶんスープだと思うんだ」とどぼどぼとミネラルウォーターを投入する。続いて切った野菜、ベーコンを入れて煮込む。その様子を見ている全員が、「炒めなくていいのかな」と考えているが、Dが自分で考えて作るというルールなので言えない。互いに顔を見合わせ、不安になる。しかもよく見たら鍋は土鍋を使っている。
 さて、ぐつぐつと煮込んで野菜が柔らかくなってきたところでトマトを投入するようだ。しかし鍋の蓋を開けたとたんに眼鏡が真っ白に!「目がぁ!目がぁ!」と突っ込んで欲しそうにわめくが、お腹がすいて気が立っている上に、本当に食べれる物ができるのか不安になってきたメンバーは無視する。ちょっと寂しそうにしながらもトマトを投入。しかし、それだけでは足りないと考えたのか、トマトピューレを1瓶いれてしまう。あまりの行動に見かねた部員が無理やり味見をさせると、「トマトジュースの熱いのだ……」とD。
 5分ほど「何が足りないんだ」と悩んだ結果、コンソメスープの素(明らかに足りないと分かるくらい少しだけ)、塩、胡椒を投入。カンちゃんはもうお腹がすきすぎて混ぜるのを手伝っている。
 試行錯誤の結果、なんとかトマトジュースを脱したものの、やたら酸っぱい。炒めていないので野菜の甘みが足りないのだ。
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 「もういい!これで完成!はい、食べて食べて!」最後はDの逆切れで終わった。
 飢えたカンちゃん、二日酔い気味のさっちゃん、不安そうなユウエン、そして嫌がる一年生が恐る恐る食べ始めた。
 「俺最近まともなもの食べてないから野菜くわねーと」とカンちゃん。レモンをみかんのようにパクパク食べるさっちゃんと彼以外は、あまりの酸っぱさに箸が重い。結局、鍋には大量の赤い物体が残り、完全に栄養剤と考えているカンちゃんと、酸っぱいもの好きなさっちゃんしかまともに食べていない。
 お椀にだいぶ残ったまま片付けようとする一年に、Dが「食べてよ」というが、「無理に決まってるでしょ」の一言で黙ってしまった。
 今回の挑戦は、何とか食べられる物体はできたものの、ミネストローネではないため、失敗に終わった。敗因は野菜を炒めなかったことと、トマト類の入れすぎではないかと思われる。Dには今後健闘していただきたい。
 ちなみに、二日酔い気味だったさっちゃんは、三杯おかわりをして、調子がよくなったそうだ。しかし、そのほかの人は、なんだか気持ち悪そうな顔をしていたとかいなかったとか。味はともかく、もっと手早く作れるようになろうと決意したDなのでした。

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