東北大学新聞:

四角い断面を持つナノチューブ合成に成功

四角い断面を持つナノチューブの合成に、世界で初めて、東北工業大学と本学が共同で成功した。(342号)


これまでに合成に成功したナノチューブでは、国内で発見されたカーボンナノチューブが有名だ。その他にも様々な素材のナノチューブは発見されているが、それらの断面はすべて円形だった。今回合成に成功したのは、二酸化モリブデンのナノチューブ。断面の長方形の大きさは太いもので10ミクロン、細いもので0.1ミクロン。長さは断面の約50倍あり、先端が一部塞がっているものもあった。肉眼で見れば粉のような大きさだ。断面は正確な鋭角の長方形をしている。断面が四角いことで、丸いものより、効率的に平面に敷き詰めることができる。
今回の合成の成功は、実は偶然だったという。もともとは、長年東北工業大学の阿部俊三助教授と、本学の末光眞希教授が、共同で、ダイヤモンド薄膜を作る研究を行っていた。アセチレンと酸素の燃焼炎を使って、天然ダイヤモンドに近い薄膜を作る研究であった。その中で基盤に使用していたモリブデン板の裏側に、何かが出来ているので調べた所、今回発見されたナノチューブが出来ていたという。しかも、本来の研究であるダイヤモンド薄膜が、天然のダイヤモンドに近いよいダイヤモンドに作れた時に合成されている。
現在分かっているこのナノチューブの特性は、電気を通すということだ。ようやく、物質が二酸化モリブデンだと同定できた段階で、まだ、どうして四角い断面のチューブができるのかというメカニズムは分かっていない。
今後の課題は、断面が四角くなるメカニズムを解明すること。四角いチューブになるメカニズムが解明されれば、基盤に規則正しく、垂直に合成できるかもしれない。現在合成に成功している、他の素材でできた断面が丸いナノチューブを、四角い断面に出来る可能性もある。また、今は大きさがバラバラで、100倍程の違いがある。これが均一の大きさになるかどうかも研究していきたいという。
将来、均一な大きさ、断面で規則的に合成することが出来れば、応用分野が広がり、実用性も大きくなる。光を当てたり、磁場を変えたりすれば、極小のデバイスになる。デバイスとは、スイッチのような物で、集積回路等に応用される。中に薬を入れれば、小さな注射針にも使えるかもしれない。また、フラットパネルディスプレイに使う電子銃にも、平面に効率的に敷き詰めることができる性質が生かされそうだ。

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