東北大学新聞:

遺伝子組み換えイネの生育実験

宮城県玉造郡鳴子町にある本学農学研究科附属複合生態フィールド研究センターで、遺伝子組換えイネの生育試験が行なわれている。(343号)

試験が進められているのは、鉄欠乏耐性組換えイネのアルカリ土壌での栽培である。現在、世界の耕地の2~3割はアルカリ土壌である。アルカリ土壌は途上国の乾燥地域に多い。アルカリ土壌で育つイネが出来た場合、これらの乾燥地域に灌漑施設を整えれば稲作が可能となる。
素類はアルカリ土壌で鉄を利用可能な形で摂取するために、ムギネ酸類というキレート物質を分泌している。イネは、このムギネ酸類の分泌能力が低いためにアルカリ土壌での栽培には適していなかった。
そこで、ムギネ酸類の分泌量が多いオオムギの遺伝子をイネに組換え、アルカリ土壌の鉄欠乏に耐性を持つイネが作られた。今回の試験では、この組換えイネのアルカリ土壌での生育を観察している。
同センター長の三枝正彦教授は、「組換えイネは、人口問題と食糧問題を解決するための選択肢の1つだ」と話している。
組換え植物の栽培は周囲の環境への影響を与えることを予防しなければならない。この栽培試験は、組換え植物隔離圃場で行なわれている。隔離圃場は関係者以外の立ち入りが禁止されている。
また、周囲に側溝と堤防を築いており、大雨などで種子が流れ出ないようにしている。さらに、花粉の飛散による交配を防ぐために圃場の周り三方は林で囲まれており、最も近い水田も500メートル離れている。三枝教授は圃場の安全性を、「日本でトップクラスの安全性を備えた圃場です」と話している。
組換えイネがアルカリ土壌の鉄欠乏に耐性を持っているかどうかは、6月下旬にははっきりしてくるという。

Copyright (C) 東北大学新聞