検証:国公立大学法人化
平成16年4月に国立大学が法人化されて、今年で2年目に入る。当初学生には見えづらかったその影響も、だんだんとはっきりとしてきた。この特集では、法人化による大学の変化と、その影響に関して検証していく。
まず1回目の今回は、法人化されることで何が変わったのか、ということを確認していきたい。
平成15年10月、国立大学法人化関係6法が施行された。この法律によって、翌年4月から国立大学は国立大学法人になった。これまでは文部科学省の組織の一部であった国立大学が、組織から独立したのである。
これにより、予算運営や組織運営は全面的に各大学に任されることとなる。これまでの評議会に代わる運営組織として、経営協議会、教育研究評議会、学長選考会議、役員会が設置された。
経営協議会では経営面を、教育研究評議会では教育研究面を主に審議し、学長選考会議では学長選考を行う。重要な事項は役員会で審議していくこととなる。このうち経営協議会と役員会に関しては、学外の有識者を組織に組み込むことになっている。
国は運営費交付金を交付し、大学ごとに中期目標を設定して、それをもとに評価を行なっていく。また、評価に関しては、大学と国以外の第三者からも評価を受ける。つまり、各大学で自由な学校経営を行える代わりに、学外からの厳しい評価や意見を受ける機会が多くなったということである。
その分、学外の企業や自治体などとの協力は自由になった。社会的な高評価を得るためには、学外と協力した事業を行い、社会貢献していくかが重要なファクターとなることだろう。
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法人化の影響として最も大きかったのは、授業料の値上げだといえる。法人化以前は、大学独自の判断で授業料を設定することはできなかった。それが法人化に伴って、国側が定めた標準額の上下10パーセントまでの範囲であれば、大学側の判断で授業料を自由に設定することが可能となったのだ。
今年4月の授業料値上げは、国の定める標準額がこれまでの52万800円から、53万5800円に値上げされたことに伴うものである。実際に授業料を値上げするかどうかは、各大学の判断に任されていた。
しかし国では、この標準額の値上げ分に学生数をかけた分を、運営交付金から差し引くことを決定していた。その結果、教育水準を維持するために値上げをせざるを得なかった、とする大学が多い。
本学も例外ではなく、今年4月から全学生の授業料が値上げされた。本来であれば、在学生の授業料に関しては据え置かれるものだった。
在学生に対する連絡は、掲示と3月末に保護者あての封書のみというものであった。大学側からは、これ以外に授業料値上げに関する連絡はなかったため、学生からは不満の声が挙がっている。
この先も、交付金が削減されていくことが予想される。だが、その度に授業料の値上げをしていくわけにはいかない。授業料を抑えるためには、国からの運営交付金以外に、大学独自の資金源を得ていかなければならない。
やはり、学外団体などと協力して研究を行い、社会貢献をするなどして、大学独自のカラーを出していくことが求められるのではないだろう。その上で、新たな研究を行なったり、寄付金を得ていくことになる。
ただ、ビジネスにつながりやすい理系の研究ばかりに予算がまわされ、文系学部での研究がおろそかになっていくことが懸念される。そうなれば、学生数や研究の質に差が出てしまい、総合大学の意義が損なわれてしまう。大学は、全学生にとって魅力的な教育や研究を行なっていかなければならないのだ。
法人化により、大学はこれまで以上に学内外に対する責任が大きくなる。それに対応することのできる、しっかりとした組織構造が求められている。
