東大に挑戦
今年も夏が来た。東京大学をはじめとする旧七帝大は、七大戦で争う熱い日々を過ごした。いや、運動部だけではない。実は新聞部も人知れないところで東大に勝負を挑んでいたのだ――(345)
その圧倒的な偏差値と、日本のトップにどかんと存在感を持つ卒業生のOB・OGたち。本学にも東大にコンプレックスを持つ人は少なくない。だが、そのコンプレックスは本当に実力から裏打ちされたものなのだろうか?
東大生と聞くだけで、ああもう敵いません、所詮私はしがないトンペイです、なんて思ってしまっているのではないだろうか?
それならば私達新聞部は立ち上がらなければならない。そして勝利と共に本学の名を世間に轟かせるのだ。そうなればきっと、ドラゴン桜では志望校を東北大に変更する。菊川玲のようなアイドルが東北大からも出てくるに違いない。
となれば早速行動だ。しかし、七大戦で運動部ががんばっている手前、我々新聞部がスポーツで挑んでもしかたない。やはり、エリートこそが持ち合わせる資質、「頭脳」と「駆け引き」と「集中力」、その3点で勝負を仕掛けるべきだろう。勝負種目は3種。先に2種目で勝利を収めた方が真の王者である。
相手には比較的環境が似た文化系クラブの学生2人を選ぶ。新聞部は精鋭2人を東京大学本郷キャンパスに派遣、そして門を叩く。今ここに新たなる戦いが幕を開く――
公平を期すため、勝負種目の決定には東大側の意見も取り入れた。しかし、相手側は「なんでもいいですよ」と発言。「自分達はどんな種目があろうともあなた達に負けることなぞありえない」とでもいうのだろうか。早くも東北大の2人は王者の貫禄を見せつけられる。
しかし、そんなことでいちいち気圧されていては勝てる勝負にも勝てない。そこで我々は「大富豪」を提案した。駆け引きが重要となる、この資本主義社会を象徴したトランプの名ゲームだ。だが、この勝負の提案が思わぬ議論を生むことになる。そう、地方ルールの適用である。
東北大側の代表の1人が「しばり」と「イレブンバック」の存在を知らなかったのだ。
だが、ここは我々も貫録をみせつけなければならない。慣れないルールの適用も望むところ、と相手側提案のルールを飲むことにした。
そして、勝負は予想外の滑り出しをみせる。「しばり」を知らなかった東北大代表の1人が、大富豪になったのである。これで勝負は一気に東北大側に傾く。大富豪と大貧民のカード交換をすませ、カードをみてほくそ笑む東北大。しかしここで東大が革命。「か、革命だとぉ…!!」東北大、あえなく都落ち。
その後の勝負でも東大側は革命を連発。どうやら東大生は革命好きらしい。我々は、その変化のスピードに翻弄され、あえなく大富豪での敗北を喫した。
だが、ゲームセンターにあるクイズゲーム「クイズマジックアカデミー2」での第2戦は、東北大が芸能、スポーツ分野で強みを見せ、勝利。両大学とも、学問、雑学、アニメ、ゲームの分野では安定した実力を見せた。特にアニメとゲーム分野で猛烈な実力を見せたのは内緒である。
ここまで一勝一敗。勝負の展開に両大学とも疲れを隠せない。第3戦はダーツ勝負。ここぞというときの集中力が最後の勝敗を決定するのだ。
序盤先行する東北大の1人に対して、もう1人が異常なペースで足をひっぱる。それを横目に東大側は安定した実力を見せる。このままでは勝てない、そう思った東北大は最後の1投に全身全霊をかける――が、時既に遅し。東北大は最後の最後でチームワークの乱れ、東大に敗退するのであった。
東大にもう一歩のところで敗北――その悔しさに、安田講堂の前で崩れ落ちる東北大。
「負けちまったな…」
「ええ」
「来年、もう一度挑戦しよう」
「え、来年もやるんですか?」
