検証国立大学法人化・対外協力の今
国立大学が法人化されたことによって、大学の運営自体が各大学法人の裁量に任されることとなった。そのため法人化以前よりも、民間企業や地方行政との共同研究などが以前より自由にできるようになっている。
また、法人化によって大学や教員が地域や各団体などと以前よりも自由な協力体制を作ることができるようになった。本学は「地域と世界に開かれた大学」を方針としており、これにのっとって地域向けの公開講座などをより多く行なっていきたい、としていた。
では、実際にどれだけそのような社会貢献が行われているのか。企業との共同研究や、地域住民向けの講演会などがどの程度行われているのか、という点から見ていきたい。
まず、平成16年度に行われていた企業との共同研究と共同開発、受託研究についてである。表1を見て頂きたい。これは、平成11年から平成16年までの企業などとの共同研究、及び受託研究の件数をまとめたものである。
法人化される前の平成15年度までは、700件を越えることはなく、また前年と比べて100件以上増加することもなかった。しかし、平成16年には受け入れ件数が一気に800件を超え、前年と比較して約200件も受け入れ件数が増加している。
ここ数年間の様子を見ると、企業との共同研究や受託研究の受け入れ件数は徐々にではあるが増加してきている。この点を考えると昨年度においても受け入れ件数が増加することは自然なことである。
しかし、1年の間にこれだけの増加があるということは、やはり法人化に伴って受け入れできるようになった共同研究や、受託研究が増えたのだと言えよう。また、研究費などの受け入れも同様で、昨年度は前年までに比べて増加幅が大きくなっている。財政面でも各大学の裁量に任されるようになり、こういった研究費の受け入れなども以前よりも自由に行われるようになったと言えるだろう。
次に市民向けの公開講座についてである。こちらは、表2を参照して頂きたい。
参加者数は、平成15年度から平成16年度まで約3倍まで増えており、講座の数も1.5倍程度増加している。内訳を見ると、一般公開講座が2件、地域開放特別講座が2件から19件と17件増加している。
これは、みやぎ県民大学や学都仙台サテライトキャンパスなどへ参加をしたこと、高校生のための公開講座などを実施したことが要因だろう。
今年度も、みやぎ県民大学では9件、学都仙台では2件が実施、および実施が予定されている。また、今年の夏からはサイエンスカフェも全8回の計画で行われており、次回は11月21日に実施されることになっている。
こういった講座以外にも、図書館の一般開放や小中学生、高校生向けの体験講座なども実施されており、今後も市民向けの講座や施設等の開放は進んでいくと考えられる。
ここまでデータを通して本学の企業や地域社会との繋がりについて見てきた。データだけでは実際にどの程度成果があったのか、と言うところまではわからない。しかし、法人化の影響を受け、大学として受け入れることのできる行政や民間企業との研究や、実施できる公開講座などの幅は確実に広がったと言えるのではないだろうか。
ただし、こういった地域や社会との協力や公開講座は、特に研究の面において文系よりも理系のものが多い。つまり、研究費等の受託にもそれは反映されることとなり、ここで文理の間に格差が生じることも予想される。
もちろん、企業や行政との共同研究や、公開講座の実施は今後大学に求められる社会的役割を考えれば重要なことだ。しかし、大学内部のことにも目を向けながらこのような事業を進めていかなければならないだろう。
