<えばーとんの食べ歩きレビュー>おみやげ特集
仙台に銘菓あり――これは菓匠三全の有名な宣伝文句だが、確かにその通りかもしれない。その味わいに高い評価が下されているのはもちろん、仙台発祥で全国的に高い人気を誇る和菓子をはじめ、洋菓子、ずんだもちに代表される郷土食までその種類も幅広い。あともう少しで年末の帰省。そこで当部が薦める、仙台の心を感じさせるとっておきの和菓子を紹介しよう。(347号)
まずはお茶の井ヶ田・喜久水庵が作る「どら茶ん」。甘みを抑えカロリーも控えめな抹茶クリームを、ふんわりと焼き上げた皮で包み込んだというこの商品は、その味とネーミングセンスで人気を集めている。
薄い緑で彩られた包装を解くと見た目は普通のどら焼き。持ち上げてみると、今にもはみ出しそうな抹茶クリームが姿を現す。と同時に想定外のやわらかさを感じる。ふんだんな量のクリームで指を汚しながらも一切れ口の中へ入れると、さっぱりとした味わいが広がる。ふんわりとした生地がお菓子としての価値を高め、爽快感豊かな抹茶クリームが絶妙。甘すぎず、それなのに苦味を感じないこのクリームは、さすがにお茶屋さんが作るもの。甘いものが苦手な方にも楽しめるお菓子に仕上がっている。
次に紹介するのはふじや千舟の「支倉焼」。これは昭和33年に生まれた伝統あるもので、今もひとつひとつ丁寧に手作りだという。
表面にはっきり「支倉焼」と焼印をつけられたこのお菓子を手にとると、見た目以上の重量感が感じられる。クッキーほどではないが少々硬めの表面を割ると、ぎっしりつまった中身が拝見できる。くずれないように注意しながら一口大に分けて、いざ口の中へ。するとその表面の硬さからは予想し難いしっとり感を認めることができる。そしてすぐにまろやかさが口いっぱいに広がった。フレッシュバターと白あんの比率が絶妙で、それらの生み出すハーモニーが口当たりのよいまろやかさを演出している。また時折、くるみが独特の歯ごたえとともに顔をのぞかせる。風味を豊かにさせちょっとしたアクセントを加えるこのくるみも、「支倉焼」を銘菓にさせるのに一役を担っているのだろう。
最後は菓匠三全の「萩の月」と「ずんだ餅ぷち」だ。「萩の月」は言わずとしれた仙台の代表的なお菓子で、宮城県の県花がミヤギノハギであることにちなんで名付けられたという。
まず包装を解くと、ほのかな甘い香りが。ここからすでに萩の月の世界が創出されているようだ。まん丸としたこのお菓子を割ってみると、見ても触ってもわかるふんわりとしたカステラ状の生地から、あふれんばかりの黄色いカスタードが目に入る。半ば衝動的に一口放り込む。すると一瞬のうちに、卵をベースにした濃厚だがまろやかなやさしい味わいが感じられる。また、ふんわりしたカステラ状の表面がカスタードのなめらかさによくあう。融けるようだ。口の中でカステラがカスタードに溶けるとともに、当部編集会議の雰囲気も一気に溶けた。
「ずんだ餅ぷち」は郷土食である、ずんだ餅の味わいをそのままに、ミニサイズでなおかつスプーンで手軽に食べられるようにしたもの。
フタをあけると感じられる香りは、やはり枝豆を使ったずんだ餅独特のものだった。全国に名高いもち米「みやこがね」を使用したという餅とペースト状になった枝豆がよくあい、甘すぎず渋すぎない絶妙なバランスとなって現れた。
もうすぐ年末。帰省のお供に当部がすすめる仙台銘菓はいかがだろうか。きっと仙台の息遣いを伝えるいいアイテムになりそうだ。
