[お仕事探訪]理容師・秘訣は楽しむこと
教育学部橋本研究室では、ヒューマン・サービス系の「しごと」についてフィールド・ワークを行っている。このコラムでは、その一端を紹介して、今を生きる彼らの「ぷろふぇっしょなる」な仕事ぶりを垣間見てみよう。(350号)
第1回目となる今回は、東北大学にて床屋を営む、理容師のAさんにお話を伺った。理容師として接客する上での心構えは「仕事そのものを楽しむこと」とAさんは言う。修行時代には「接客業だという意識を強く持ち、不幸があっても顔には出さない」といったアドバイスを受けた。毎朝鏡を見て、そして無理やり笑う。笑うことで自然と楽しい気持ちを作っていく。「どんな接客業でもいえる事だけれど、自分が楽しむことで、お店の雰囲気が楽しいものになる」。
また、修行時代の経験が理容師としての「腕」に深く関わる。「あまり早く仕事をさせると最終的にうまくならない」。安いお店を修行先として選んでしまうと、修行を早く終えすぐに第一線で働かないといけないため、腕も中途半端となってしまう。お店によって違うが、Aさんの修行先では3年間はカットができなかった。まず、シャンプー専門の1年間、次に顔剃り、その間に次第に仕事の幅を広げていく。3年経つと、まず長い髪のカットからはじめ、刈上げ、スポーツ刈りへ、全部で5年の修行期間が新人全員に課せられていたという。「同じお店に同期が10人。修行中は給料が安くて、『6年生』になると給料があがる仕組みだった。『同学年』はライバルで、優秀なのは早く仕事につける。競争しながら、みんな12時まで残って練習をした」。
また、「うまい人は、仕事が好きな人。自分で学ぶ人、学ばない人の間には差がつく」とのことで、修行中、修行後も仕事を楽しめる人は伸びるのが早い。理容師業界の人は、フランスなど様々な土地を回るとのことで「いろいろなお店を見ると様々なお客さんを見ることができて上達する」。上達したいという意識と積極的な行動力、そしてそれらを楽しむことが、仕事の「コツ」といえる。
「どんな職種でもそうですけど、若いうちから、上達したいという意識をもって、いろいろなところを見て回る人はどんどんうまくなっていく。東北大生も、勉強だけでなくいろいろな世界を見て欲しい」。
ところでAさん曰く、キャンパスが年々「おしゃれ」になっていっているという。「昔の東北大生は『勉強!勉強!』で、ある意味変わった人が多かった。今は積極的に遊んでいて常識が身についている」。どうやら「楽しんで世界を見て回る」点においては、東北大生は「しごとのコツ」を身につけつつあるようだ。(橋本研究室・丸山寄稿)
