東北大学新聞:

[東北大の論点]履修制限を探る

履修登録の際、単位数に上限が設けられていることを知っているだろうか。学部によって異なるため、知らない学生も多いだろう。第2回となる今回は、全ての学部に課せられているわけではないこの「履修科目登録単位数の上限設定制度」の意義を問う。(351号)

履修制限とは1年間、または1学期間に登録できる単位数の上限を示している。平成18年度学生便覧によると経済学部、理学部、農学部、工学部の4学部で履修科目登録単位数に上限が設定されている。ただし、実験や実習、自由聴講科目や教職に関する科目、再履修科目などいくつかの科目は上限に含めない学部が多い。
この制度が導入された時期は学部により異なる。もっとも早い段階で設定したのが工学部で平成13年度入学生から適用。以降、16年度に経済学部、17年度に農学部、18年度に理学部となっている。
そもそも、履修科目登録数に上限を設けるという議論は平成10年(98年)、当時の文部省の大学審議会・大学教育部会での答申が始まりである。
ここで議論されたのは、「単位の実質化」だ。単位の実質化とは、しっかりと学習を積んだ上で学生が単位を修得することを掲げている。
文部省は1単位の習得に必要な学習時間をおおよそ45時間(授業15時間、授業外での学習30時間)としている。しかし、現状は授業に出席するだけで、授業外での学習をほとんどせずに単位を修得してしまう学生が多かった。
単位の実質化にあたり、この問題は大きな課題となった。その解決策として示されたのが履修科目登録数の上限設定である。改訂大学設置基準第27条には、「大学は、学生が1年間又は1学期間に履修科目として登録できる単位数の上限を定めるよう努めることとするとともに、大学の定めるところにより、所定の単位を優れた成績をもって修了した学生については、その上限を超えて履修科目の登録を認めることができる」と規定されている。
これは努力規定で、必ずしも上限を定める義務は無い。上限を定めていない大学も存在している。
上限の設定により、卒業要件単位のまとめ取りが不可能になる。このため、学生は計画的な履修を要求される。また1週間の授業数が限られるため学習時間を確保しやすい。
では本学における履修制限の現状はどうか。工学部と経済学部について取材を行った。
工学部では、平成12年に、制度の検討を開始し、平成13年度入学者より制度を開始した。開始当初、1学期間の上限を20単位までとしていたが、不合格科目が1つでもあれば留年してしまう可能性があった。学生からも意見があり、24単位までを上限とした。
制度開始により2~6セメスターに顕著化していた中だるみが減少傾向にあり、きっちりとした履修計画の必要性から留年者の増加に歯止めがかかっていると考えられる。
概数だが、上限を設定する以前は2割5分ほどだった留年者数が、設定後が2割程度に減少してきているという話も聞かれる。
経済学部では平成16年度入学者から適用されている。それまで、経済学部では4年次に20単位修得しなければならなかった。この制度は生徒から不評で、単位修得上限設定と同時に廃止された。このことは学生からおおむね好評を得ている。
また、成績優秀者は翌学期に制限が解除され制限を超えて科目登録を行なえる。(経済学部は4単位まで。工学部は制限なし。理学部は6単位まで。農学部は制限解除を行っていない)

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上限制度が、学生の履修計画を補助していることは確かだ。履修モデルの提示は学生にとって一定の目安になり、自分で計画を立てるよりも失敗することが少なくなった。このように、上限設定は卒業のための履修計画に貢献している。
専門科目であれば、単位の実質化に沿った方針で問題無い。専門科目で十分な学習を積むことは、高度な専門教育を行なう大学の目的と一致するからだ。
だが一般教養科目に関しては、単位の実質化だけでなく学生が興味ある講義を選択できることが重要だ。そのために、浅く広く履修することも認められるべきだ。
例えば、専門科目が少ない低学年次に多くの一般教養科目を履修することで、興味の範囲を広げることができる。履修登録期間を長くすれば、多くの講座を自分で比較することができる。
上限があることで、興味も無い科目を単位修得のために履修しなければならないのであれば問題だ。
単位修得上限制度は導入段階で、評価にはまだ時間がかかる。制度の意図に沿った成果が出るように、制度の内容を検討していかなければならない。
(本紙記者)

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