東北大学新聞:

脳の先読み機能を解明・医学系研究科虫明教授ら

の中にある前頭前野が問題解決の手段を先読みする仕組みを本学大学院医学系研究科―生体機能学講座―生体システム生理学分野の虫明元教授らのグループが明らかにした。(352号)

本研究では、両手に持った2つのコントローラーを操作し、コンピュータ上の迷路問題を解くことができるよう訓練したサルを用いる。迷路を見たとき、サルの前頭前野の細胞は、1 手目、2 手目、3手目をどのようにすればゴールに到達するのかを同時に示す。(並列分散表現)
また、実際に迷路を解かせている時、前頭前野は示した手順を順番通りに再現し、最初に示した手順を確認してもいる。つまり、サルが1手目の選択をした時には1手目の働きを示す細胞が、2手目の選択をした時には2手目に対応する細胞が活動する。(系列時間的表現)
具体的に背外側前頭前夜の細胞レベルで目標への手順を表現していることを明らかにした。また、行動の手順をひらめく段階と実際に行動する段階では前頭前野の細胞が異なる表現をすることを発見した。これは、1951年にK・S・ラシュレーが提起した「脳における系列化問題」に対し有効な仮説の根拠となる。
同研究の応用分野は幅広い。虫明教授は、大阪大学浅田教授のロボット開発プロジェクトに参加し、人間のように先読みのできるロボットの開発を目指す。
また、工学部小柳研と脳の高次機能を適切に読み取るためのインターフェース、Brain-Machine-Interface(BMI)の可能性も模索している。開発にはまだ時間がかかるが、実用化すれば、頭で考えただけで機械に命令する事ができる画期的なインターフェースとなる。さらに脳との直接的なやり取りの研究は認知症等の治療の糸口を見つける上で有効であるとも考えられている。
今後は、前頭前野と周りの連合野との相互関係を明らかにすること、高次の認知機能を解明するためどのような実験的アプローチが有効か調べていく。
虫明教授は、学生たちへのメッセージとして、「学問を行なう際に、自分の分野だけに閉じこもってはいけない。文系理系を問わず、違う分野の研究にも目を向けることが重要だ」と述べた。
特に脳の研究は他分野との連携が多くなる傾向があり、研究の現場では、様々な経歴を持つ研究者が積極的に意見を交わし、様々な興味深い研究が生まれているという。

Copyright (C) 東北大学新聞