世界最小のモーター・金属ガラス技術応用
新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)の金属ガラス成形加工プロジェクトが、並木精密株式会社、YKK株式会社と共同で世界最小のマイクロギヤードモーターを開発した。プロジェクトリーダーの本学金属材料研究所所長井上明久教授は第4回産学官連携功労者表彰で内閣総理大臣賞を受賞している。(352号)
通常、モーターの回転の中心となるマイクロモーターは、サイズが小さくなると起動トルクが減少する。そこでギヤヘッドを取り付け、トルクをつける。このモーターでは、ギヤヘッド部分の歯車に金属ガラスを用い、直径1.5㍉の世界最小サイズを実現した。
携帯電話のバイブレーション機能に使われるモーターに比べて3分の1のサイズでありながら20倍の起動トルクを持つ。また現行品のギヤよりも磨耗しにくく長寿命化を達成した。さらにほとんど錆びず、加工が容易。
現在生産ラインができあがり、販売も行っている。内視鏡や医療用マイクロマシンの部品や産業用ロボットの部品として活躍が期待されている。
モーターのギヤ部を作る際に役立った金属ガラスは高精度の転写加工性を持つ。金属が液体になる温度から冷やしていくと、通常の金属は一気に冷え固まり原子は周期的に並ぶ。しかし金属ガラスは液体構造を保ち、体積変化もなだらかなので、金型の形を高精度に写し取る。このため切削加工では作成できない超小型化を実現。量産化に適した多数個取り連続生産技術を確立した。
金属ガラスは初め、高反発ゴルフクラブの素材として登場した。現在は高強度ながらたわみやすい特長を生かし、自動車エンジンの圧力センサーへの応用テストが行なわれている。高感度、耐圧性が増すことを確認している。金属ガラス精密素材市場は1580億円に昇ると予測されている。
