大学祭 模擬店ごった煮だ
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大学祭。それは見たことがないような団体が多く顔を出し、川内キャンパスに大量の模擬店を並べる年に一度の祝祭だ。普段は大学に来ないような学生から、怪しい匂いのするおばちゃん、家族連れなど様々な人が集まる。さながらサラダボウル——いや、鍋のようである。そうだ、大学祭で鍋をしよう。大学祭の模擬店を回って鍋の具材を集めれば、大学祭を味わいながら人のぬくもりにも触れられる。
我々はルールを策定した。
①お金を払ってはいけない
②食べ物は全て受け入れる
③具材は全てもらったものとする
うむ。目的に沿ったルールである。
早速サークル棟を飛び出した我々。第一模擬店を発見する。新興スポーツサークル「日替わりランチ」が主催するうどん屋だ。うどんといえば鍋の定番として名高い。私は早速後輩に調達を指示した。
「鍋の具材を集めているんですが」。切り出す後輩。戸惑う店員。見ているだけで恥ずかしい。逃げ出しそうになっている私をよそに後輩は交渉を続けた。(失笑の)痛みに耐えてよく頑張っている。その成果か、わかめ、うどんつゆ、ねぎを頂いた。おお、鍋っぽい。幸先よいスタートだ。
次に私達が発見したのはたいやき屋であった。今年はどうもたいやきが流行っているらしく、店も多い。たいやきか。あまり鍋に入っているところは見たことがないが、それも悪くない。魚介類として鍋に彩を与えてくれるだろう。
我々はたいやき屋をいくつかまわり、店員のおやつだったカントリーマアム・商品のたいやき(あんこ)を入手した。カントリーマアムはしっとり感が人気の定番クッキーである。せっかくのしっとり感を台無しにするのは心苦しいが、私達の意思の前には些細な問題だ。
鍋には主役となる調味料が必要である。うどんつゆだけでは心もとないため、豆板醤と塩を調達。これがあればたいやき独特の甘みを抑えることができるだろう。
続いて我々はじゃがいもとたこせんを調達。どの団体も我々の交渉に快く応じてくれる。スポーツサークルオフコースからは串カツを2本も頂いた。これで野菜・魚介類に加え肉類まで揃った事になる。
我々はわらしべ長者のような幸運の連続に調子に乗っていた。そこで遭遇したのが剣道サークルのせんべい屋だ。商品をくれると申し出てくれた。グレープ水飴せんべい。たいやき・カントリーマアムもあるし、どうということもないだろう。我々はそこに大きな罠が潜んでいる事も知らずに、水飴せんべいを鍋に放り込んだ。
さぁ食べよう。水を入れ、火をつける。異様な匂いが立ち込める。嗅いだことのない、ブドウの匂いだ。自然と箸を伸ばす手が止まる。
私はなかからタイヤキをつかみ、口に近づけた。一番槍だ。豆板醤とブドウの混ざった匂いにくらくらする。ぱくり。「…………!」涙が出てきた。タイヤキも串カツも全てブドウの匂いがする。カントリーマアムは見当たらない。どうやら溶けたようだ。
私達は(主にブドウの匂いに)苦しみながらも鍋を完食。意外と食べられるものである。鍋の偉大な効果を見た思いだった。ありがとう大学祭。私はきっとこの鍋を忘れないだろう。
