中国にて温室効果ガス削減のプロジェクトを主導
本学は10月26日、日本カーボンファイナンス株式会社(JCF)と、中国の山西安泰集団股份有限公司の2社との共同で、温室効果ガス排出削減のプロジェクトを行うことを決定した。中国山西省で行われるクリーン開発メカニズム(CDM)の国連登録を目指す。
プロジェクトでは設備投資や温暖化ガスの排出権売買量の分配などを行う。具体的なものの一つとして、安泰集団のコークス炉に乾式消化設備を設置する計画がある。石炭の製造過程で必要な冷却作業を不活性ガスで行う。従来は水で冷却していたが、この改良により不活性ガスの蒸気を回収でき、火力発電の機能を付加できる。
火力発電機能では売買可能な排出権であるクレジットが発生する。本学は研究の実施と成果の社会還元を目的としているため、クレジットは特に要求しない。
プロジェクトが本学主導ですすめられている背景には本学出身者が山西省の開発に関与していたことがある。様々な研究のノウハウが生かせることも要因の一つだ。2001年度から2005年度まで学際科学高等センターに研究チームを置き、安泰集団におけるプロジェクトの効果などを研究してきた。
日中間の省エネCDMで国連に正式に登録された案件は今のところ存在しない。また大学がプロジェクトの参加者として主体的に関わることは世界でも稀だ。CDM登録は来年の5月から6月に可否が決定する。
今回のプロジェクトが公になったことにより、明日香壽川教授(本学アジア研究センター)には企業や他大学から相談が来ている。
CDMは一度成功すれば企業による模倣が可能となり、ビジネスとしての色合いが強くなる。今後、学問的要素は弱くなっていくとみられる。
明日香教授は、今回は利益が目的でなく、研究要素が弱くなれば面白くないと考えている。「今回の成果でビジネスモデルを示せたので満足している。今後は企業との連携、山西省との関わりを深めたい」と話した。
排出権売買
京都議定書の温室効果ガス排出削減目標の達成にむけ、市場原理を活用した仕組みとして作られたもの。プロジェクトに対する投資国が、達成した削減量分を排出権として得ることができる。この権利を売買することで削減を促進させることが期待されている。
クリーン開発メカニズム(CDM)
先進国と途上国が共同で温室効果ガス削減プロジェクトを実施し、そこで生じた削減分を先進国が自国の削減量に充填できる仕組み。これによりプロジェクト立案に積極的になり、温室効果ガスの全体量が容易に削減できると期待されている。
