東北大学新聞:

井上明久氏にインタビュー 本学第20代目総長就任

本学第20代目の総長に井上明久氏が11月6日、就任した。任期は6年。本紙は井上総長にインタビューを行った。

――総長としてどのような手腕を振るっていきたいか?
まず、法人化した大学をうまく運営していきたい。それに伴い世界から注目を浴び、仙台に来て学びたいと思われるような大学作りをし、仙台が国際学術都市に発展するために貢献したい。そのためにはやはり、質の高く人間力の高い学生を輩出していかなければならないし、研究成果においても世界の人の注目を集めるような、文明の創造に寄与するような学術結果を発表していかなければならない。そういう視点で見たときに、私の任期は短いですが(そのような大学作りに)少しでも寄与できればと思います。それとご存知のように東北大学は100周年を迎えます。これまではいわゆる国立大学としての東北大100年だったと思う。これからは東北大学法人としての100年。私の任期の間に法人としての100年の礎を築くことができればと思っています。
――これから100年の礎を築きたいと
そう。法人化前は大きな政策は文部省が決めていて、それに沿ってお金が来ていました。コンスタントにお金が来る状態でした。それでそのお金をどう教育や研究に使うかというのは、一部の教授が決めていた。ところが法人化により、こんどは教員だけではなく、事務職員も、技術職員も、在校生も、同窓会組織も、地域の人も協力して物事を決めていかなければならなくなった。従来の教授だけの運営から、法人後は外部の人も積極的に入れるような仕組みに変わってきている。そのことを重々に意識したうえで、大学の発展に努めていかないとだめだと思ってます。運営費交付金という国から来るお金は、どんどん右肩下がりになっています。そのため大学として、財務経営を改善していかないといけない。今は競争的資金や企業からの受託研究、共同研究を頑張っています。それと同時にこれからの100年は、東北大学の寄付金をどれだけ充実させていくか。同窓会組織、東北大学を構成する人たちの一体感を増して基金を募る。文字通りみんなに支えられる東北大学、そういう仕組みを作り出していくことが、極めて重要だと思います。
――ホームページ上でも事務職員が積極的に参加することが大事と言っていたが
そう。例えば私たちが11月からスタートさせた総長室でも、戦略スタッフとして事務職員4名に入ってもらっています。いままで戦略的な機関に、戦略スタッフとして事務職員が入ってくることはあまりなかったと思う。事務職員のなかにも優秀な能力持った人がたくさんいますから、それをどう有効活用していくか、作り上げるか。そうすれば教授の負担が減る訳ですから、教育と研究に没頭でき、大学にとっても利益になると思います。
――研究、教育についてはどうしていきたいか?
(本学は)大学院大学になりましたよね。今のメインは大学院。今までは学部の4年間が基準になっていて、少し細切れな状態で修士の2年が上乗せになっている形になっていました。だからカリキュラムが重複していたりするかもしれないと。そこで6年間で一貫したカリキュラムを作って優秀な人材を作っていきたい。その中で、現在の変化の激しい世の中においてでも人材が貢献できるように、基礎学力を今以上につけるようにする。最初の1年半で教養教育・全学教育を十分に身につけさせる。次の半年間を海外インターンシップで、海外生活、カレッジ生活を学ぶとか。6年間一貫教育のカリキュラムを作ることによって十分そういうことはなしうる。やはり教養教育は重要です。それと21世紀では異分野融合が非常に大事だと。複眼的視点を持った人材。これが教育において非常に大事だと思います。その2つの充実を目指したいと思います。
――文系学生の大学院進学率は理系学生と比べて高くないが、それでも大学院中心にするのか?
その辺のギャップはやっぱりありますよね。しかし6年間一貫教育といっても、決して最初の4年間を軽視するというわけではありません。それと文系のなかでも専門職大学院で、法科大学院とか公共政策大学院とか、いろいろ専門職大学院は出来ています。このように社会学の分野では、専門職の大学院に重点が置かれる例がでてきている。理系の学部はもちろん、文系の学部もせっかく大学院大学になったのだから、長期的な教育をめざしたいと思っています。
――全学教育の具体的な強化方法は?
単位数を増やすことを考えています。授業数を増やし、卒業に必要な単位数を増やす。教員が足りない場合は熱意のある退職した先生に再登場していただく。再雇用を計画中です。あとは、海外インターンシップ、海外に触れる機会を増やす政策をとっていきたい。入学時の偏差値では他大学に負ける学生だとしても、教養教育でトップレベルの学生に育てて、国際的に通用するようにしたい。教養教育を最初の2年だけのものではなく、それ以後につながるものにしたい。
――具体的にどんな学生を育てたいか
国際的な視点を持ち、人間力が高く、生活力の高い学生を育てたい。生活力の高い学生とは、積極的で周りを見ることができ、成功を収める可能性の高い学生のこと。そして社会貢献できる人にしたい。
――最後に学生にメッセージをお願いします
学生生活6年、院に進まないなら4年ある中で、これはという夢、志を見つけてください。そして将来それを実現できるような礎を構築するような勉強をして欲しい。総合大学だからいろいろな人に出会うことができます。そこで生涯の友となる人を見つけて欲しい。そして、最終的には世の中に貢献できる人材として世界に出たり、1人前の研究者になってもらいたい。東北大学はそんな夢をかなえられる環境です。

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