357号 お仕事探訪
今回インタビューに協力していただいたAさんは、Xデパートにおいて「店内案内員」として働いている。Aさんは、現在、Xデパートに勤務して3年半。主な業務は店内案内所・エレベーターに立ち案内すること、また、店内を点検・見学し店内の情報を把握することであるという。
案内員は品物の種類や所在のみならず、近くの建物の情報など、お客様に何を聞かれても答えられるようにしておく必要がある。また、テレビでの商品の紹介や、式典で来賓にお花を渡す等『デパートの顔』としての役割もある。制服の着方やメイク・髪型、話し方、歩き方などに、細かなマニュアルがあり、それに即しつつも常にお客様第一の対応が求められる。
案内員において最も欠かせないのは「柔軟な性格・頭」であるという。デパートという場所には様々な年代・性別・性格のお客様が集まる。そのため『自分の普通』と、『相手の普通』とが食い違うことが多い。けれども、「店員たるものお客様が普通であり、店員はそれにあわせていかなければならない」との姿勢が求められるのだそうだ。
また、デパートの他の店員と案内員の違いは「接客」にある。「私たちがお客様と接する時間はすごく短いですね。その中で、お客様にとってよりよいことを瞬時に判断しなければならないことが、店内案内の特殊なところです」。一瞬だからこそ、良くない印象を与えてしまったら、もう取り返しがつかない。Aさんの言葉には、そういった緊張感も感じられた。
もっとも、Aさんは案内員を務める上での特別な才能はないと考える。「笑顔と元気があれば、できる仕事です。私にはこれが向いている、と思ったらあとはまっすぐな気持ちで行えば、必ず成功すると思います」Aさん自身の接客のスキルも、3年前から身につけていたものではない。「毎日のやり取りの中で、お客様に満足していただけたかな、というものを見つけながら…」徐々に獲得していったものなのだという。
それでは、Aさんにとって「仕事」とは何か、学生に対するアドバイスも含めて伺ってみた。「楽に働けるところなんてどこにもないです。会社に入ったならば、辛いな、と感じたときすぐやめるのではなく、もう一度思い直してみて、自分の納得のいくまで全うする。そういうことが『仕事』だと思います」。
もっとも、Aさん自身、自分が何に向いているのか、といったことはまだ分からないという。けれども「接客の仕事は大好きです。だからこそ、もっともっとやりたいな、と思っています」と前向きな姿勢を見せる。世の中は厳しい。けれども、そのことを覚悟した上で「仕事」への愛情を持つことが、働く上での基本的なコツであるといえるのかもしれない。
