358号 お仕事探訪
法務教官とは、少年院や少年鑑別所に勤務し、非行を犯した少年を社会復帰させるための矯正教育を担当する職業である。今回のインタビューでは仙台市の少年鑑別所に勤務する二人の法務教官にお話を伺った。
少年鑑別所では、家庭裁判所から観護措置の決定を受けた少年を審判までの間収容し、心情の安定を図ると同時に審判やその後の処遇に役立てるために少年の問題性や資質を調査・診断する。「健康状態を見てあげることも大事ですし、心情的に不安定だと話を聞いてあげて落ち着かせることをしています。審判までのあいだ見て、守ってあげるということ」が少年鑑別所での法務教官の役割だ。
しかし、常に少年に張り付いていることが求められているのではない。具体的な仕事内容は、少年の入所・退所の手続きや入所中の食事や睡眠などの身の回りの世話といった普段の業務と個別の少年を担当し、面接を通してその家庭環境や資質を見極める担任業務の二つからなっており、日常的な生活の場面を通して少年の様子に気を配り、事務的な仕事をこなしつつ少年と接する時間を作っていくことが必要なのだそうだ。そうすることにより、少年にとって「最も身近な存在」になることが法務教官にとって一番重要な仕事のコツだ。
観護措置を受けた少年は心理判定員や家裁の調査官など様々な大人と接することになるが、これらの大人たちは少年の心理状態や家庭環境を冷静に把握することが役割であるため、少年たちは緊張を強いられる部分がある。これらの大人の前では「言えないようなことを言ってくれたらいい」「思っていることをいってくれればいい」というように、本音で話せる大人としての関係を少年との間に築くことで、少年の心情の安定や前向きな意識が生まれてくるという。そしてそのような信頼関係は、毎日の細かな「声掛け」によって作られていく。あいさつやほんの少しの会話でも根気強く続けていくことで、少年のことを「気にかけている」という意識が伝わり、少年が心を開き「処遇に乗ってきて」くれるようになるという。
「少年から逃げな」いで向き合い、働きかけ続ける精神的にも肉体的にもタフな人材が求められるハードな仕事ではあるが、「自分と関わることによってその人の心に自分の存在が残る仕事」でもある。人と関わる実感を得ながら働きたい東北大生には是非目指してほしい仕事だ。
