東北大学新聞:

JP仙台駅長 紺野純一氏にインタビュー

――駅長の仕事というのはどういうものですか?

 駅長というのは、駅で起こっていること全ての総括責任者です。駅全体の運営が一番の大きな仕事で、あとは列車が遅れた場合の指揮も当然しますし、ダイヤ改正の支持や、外部団体との連携も大切な仕事です。駅前の商店街や七夕実行委員会との会議などもあります。そういう感じで守備範囲は非常に広いですね。

――仕事で一番の苦労は?

 安全で快適な列車の運行を保っていくこと。それが私に課せられた大きな使命だと思っていますし。ですから列車が自然条件等で遅れた場合など、お客様に非常に申し訳ないと感じます。毎日25万人ほどの利用者がいる仙台駅で安心、安全な輸送を提供し続けること。それが最大の苦労であり、使命だと思っています。

――駅長の使命として快適な駅作りや、安全で正確な列車の運行とおっしゃっていましたけど、それは自分のやりがいでもあるわけですか。

 そう。やっぱり仕事というものはやりがいを感じて、使命感に燃えてやるっていうことが一番大事なんですね。特に我々はきわめて公共的な仕事をやっています。そういうことを非常に強く認識しています。同時に、それは緊張の日々でもあるわけですが。

――駅長として、一つの会社のトップになって、人に働いてもらうために必要な資質とはなんですか?

 やっぱり大事なのはリーダーシップと思いやりですね。鉄道の事業という決められた業務をきちっと正しく遂行してもらうこと。自主性を重んじながら、やる気を出してもらうこと。組織を有機的に機能させていくためには、この二つが非常に大切です。思いやりを持って部下にあたる。そして、真摯になんでもいえる状況を作りながら、リーダーシップも発揮していく。そういったものを目指しています。
 だから、駅でも駅長室に入ってずっと構えていてはダメなんですね。トップとしてはやはり現場の状況を自分の目で見て、場合によっては自ら出動しなければならない。
端的なのは朝からごみ拾いをやっていることですね。朝の通勤時間帯に駅の中を一通り回るだけで1時間かかるんですけど、ほぼ毎日巡回して、社員の顔を見たり、意見を聞いたり。そういうことを通して、駅を自分の目で見て、社員の変化やお客様の状況をきちっと頭に焼き付けておく。そういうことが大事だと思います

――駅長として、仙台という街をどう感じていますか?

 仙台は非常にステキな街だと思いますよ。実は仙台駅は、JR東日本の中で収入3番目なんですよ。東京・新宿・仙台の順なんですね。そういう意味では相当駅としての役目も重要ですし、それから交通の結節点としての仙台駅の役割も非常に高いと思います。特に3月18日にアクセス鉄道ができてからは、東北のゲートウェイとしての機能もこれからますます高くなってくると思いますね。
東口も3年前にペデストリアンデッキができて、宮城野通りも整備されました。そしてなんといっても大きいのは、2年前に楽天が来たことですよね。駅構内にある東西自由通路の往来も、一番町のアーケードをしのぐ人の数です。
本当に仙台はますます発展していきますよ。街そのものも、落ち着いた杜の都的な感覚と、都会的な感覚を合わせ持っていて、非常に住みよい街ですよね。百万都市でありながら、緑もあって、スキー場や温泉も近隣にあったり。
ソフトの面でも、プロスポーツチームが3チームもある都市というのはそれほどない。野球とサッカーとバスケットボール。それから、適時適時にイベントもありますよね。春の青葉祭り、夏の七夕、秋のジャズフェスティバルも本当に有名になりましたね。冬は光のページェントがあって、そういう風に文化の面でも活気があると思います。
そして、みなさんが通ってらっしゃる東北大学などがある学都であって、これも非常にいい一つのステータスになっています。やっぱり大学のある街っていうのはいいですよね。
私は旅行の仕事なんかでいろいろな街を見てきましたが、仙台は相対的に非常にすばらしいと思います。本当に洗練された都市になってきたと。

――駅長さんから見て東北大生というのは?

 これはもちろん東北、日本を背負っていく人たちであって、大きく巣立っていってもらいたいと思います。特に工学部なんかの技術力っていうのは国の将来を左右しますよね。あるいは法曹界や、企業の世界においても、大学で学ぶ、経験する、そういう知識が特に生かされるような時代になってきていますよね。
日本はもともと資源がない国であって技術とか知識が価値を生み出す。自分達がやるべき勉強を確実に積み重ねていって、それを社会のために生かしていくことが大事なんじゃないかと、そして皆さんにはそれができると思います。単に社会的な地位とか名声を追うのではなくて、しっかり学ぶべきことを学んでください。

――具体的にはどんなことを?

 専門的な知識を極めることともそうですけど、やっぱりものを見る目を養っていただきたい。あるいは自ら行動するという姿勢を学び、確立していくことが大事だと思いますね。もっといえば志をしっかり持って学ぶこと。20代前半というのは、可能性は本当に無限大ですよ。でも、志がないとやっぱりダメだな。例えば我々だったらお客様のためにということを常に念頭において安心、安全を作ること。口では簡単なんだけどね。実践していく中では、状況もいろいろで、非常に難しい。

――目標や志というものを培っていくためには?

学生の時だったら、例えばドイツ語を完全にマスターしようとか。国際的な金融の仕事がしたいんだとか。目標や志、そういうものは誰にでもあると思うんですね。社会に出ても、駅の場合だったら、安全を守ることや、地域に貢献することだったり。それで、私が新入社員なんかによく言うのは、「着眼大局と着手小局」。要するに、やることは小さなことでもそれが5年たったり、10年たったときに大きな形になっていくんだと。だからそれは、しっかりやろうと思えば誰にでもできることなんだと思います。

――例えば、仙台駅に新しい社員が入ってくるときは、どんな社員に入ってきてもらいたいですか?

 やっぱり明るく元気で前向きな社員に期待しますね。すべてに前向きだとか、明るい感じだと、いろんなことを学ぶときにも吸収が早いし、溶け込むのも早いし、明るさとか積極性というのは社会人となって仕事をしていく上では非常に大切な要素だと思うんです。

――大学生もそういうことを心がけて大学生活を送るべきだと?

 そうですね。やっぱり部屋に閉じこもって知識だけ詰め込んでも、複眼的な目とか視野の広い行動はできないもので、だから私の場合でも新しい動きがあったときは必ず現場を見て確かめて、ということが大切なんですね。

――最後に東北大生に向けてメッセージをお願いします。

 躍進する杜の都で学ぶ4年間というのは、非常に大事な時間だと思います。大いに学んで、大いに将来に備えていただきたいと思います。ぜひ東北や日本を引っ張っていける人材として、ここから巣立っていってもらいたいと思います。

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