東北大学新聞:

MRAM実用化へ期待

本学流体科学研究所の寒川誠二教授らのグループは、不揮発性磁気メモリー(MRAM)の実用化に重要な磁性体の加工法を提案し、実際のデバイス上で実証することに成功した。

従来のメモリーは電荷を溜めることで情報を記憶していた。しかしMRAMは磁性膜の磁極の向きを変えることで情報の記憶を行う。
これによって、省電力、長寿命、書き込みや読み込みの高速化を実現することができるため、夢のデバイスと言われている。パソコンや家電製品以外に宇宙線に強いことにより宇宙事業などへの実用化も期待される。
MRAMの実用化への大きな課題として、磁性体の加工が困難であることが挙げられる。通常の塩素や弗素ガスを用いたプラズマを使用した加工の場合、プラズマ中には塩素や弗素の正イオンが形成され、加工種として用いられる。しかし、磁性体と正イオンの反応性が悪いため磁性体の加工が殆ど進まなかった。
そこで寒川教授らはプラズマを発生させる電界をパルス変調することにより、従来のプラズマでは発生しない塩素の負イオンを発生させ、その負イオンを磁性体表面に加速して輸送することで磁性体との反応性を大幅に高めることに成功した。また、通常の放電プラズマではプラズマから放射される紫外線により磁性膜の磁気特性が劣化するという問題もパルス変調することにより大幅に改善することに成功した。
寒川教授グループはプラズマ中の活性種の制御および表面反応制御に関して世界をリードしており、デバイスメーカーと共同で次世代64MビットMRAMへの適用を進めていた。この度、実際のデバイス上で実証し、国際会議で報告を行ったところ反響が大きかった。今後はこの技術を装置メーカーと共同で5年以内の商品化を目指す。

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