東北大学新聞:

高精度圧力センサー開発

4月、本学金属材料研究所は、株式会社青山製作所茨城工場および長野計器株式会社と共同で、金属ガラスを用いた高精度圧力センサの開発に成功したことを発表した。  

 開発された高精度圧力センサは、金属ガラスの高強度、低弾性という特徴を応用している。これにより、高精度圧力センサは従来の圧力センサと比較して、同サイズのもので3・8倍もの高感度を得ることに成功している。また強度も向上しており、より高い圧力を測定することも可能となる。
高精度圧力センサは現在、自動車のブレーキなど内部部品に応用するための開発が進められている。将来的には燃料電池車の燃料電池の制御に応用されることが期待される。しかし現状では圧力センサの製造コスト面などに問題があり、より高品質で安価に製造できる量産プロセスの開発が進められている。
金属ガラスは数種類の金属からなる合金で、通常の結晶金属と異なり、固体でも原子がランダムに存在する構造を持つ。このような構造を持つ金属をアモルファス(非晶質)金属と呼ぶ。
金属ガラスは、通常の金属と比較して様々な優れた特性を持っている。通常、結晶金属は微小な欠陥部分を持っている。欠陥部分が容易に移動するため、結合が破壊され、最終的には永久変形を起こす。また、結晶同士のずれた面から腐食が進行する。
対して、金属ガラスはランダムな構造を持つため低弾性であり、強度が高いため破壊が起こりにくい。通常の金属と異なり結晶化による縮みが存在しないため、型を利用した際に、より高精度な成形ができる。表面が均一なため腐食も起こりにくい。
高精度圧力センサの研究開発は「金属ガラスの成形加工技術」プロジェクトの一環として行われている。同プロジェクトは経済産業省が独立行政法人新エネルギー・産業化技術総合開発機構(NEDO)に実施させている「革新的部材産業創出プログラム」内の一部門だ。プロジェクトリーダーを務めるのは井上明久本学総長。東北大学を始めとする3大学の研究所、および各企業が共同で研究開発を行っている。
プロジェクトでは他にも、輸送機部材の加工技術、高精度高速リニアアクチュエータなどの研究開発が行われている。それらのテーマも、5年以内の実用化が見込まれている。
今回の取材に対して金属材料研究所の井上明久教授は、「金属ガラスの研究では現在、本学が世界をリードしている。私たちの研究は基礎が重要な分野であり、それを根気よく重ねていくことで新しい発見を得ることができ、実用化へとつながっていくものだ。本学の実学第一主義とはそういうもので、実用だけが重要なのではない。これからも本学から、世界を引っ張っていく人材が生まれてくることに期待する」と語った。

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