テラヘルツ波で顔料分析
小川雄一准教授(農学研究科)が、独立行政法人情報通信研究機構と共同で、テラヘルツ波を照射して絵画等に使われる顔料を識別する技術を開発した。
テラヘルツ波とは電磁波の一種で、光などの波長の長いものと波長の短い電波などの中間に属するものであり、両方の性質をあわせ持つ。
テラヘルツ波は人体への悪影響はない。
今回、小川准教授らが行った研究は、天然物のスペクトルのデータベースを作ろうと始まった。その研究を続けていくうちに、絵画などに使われる顔料がテラヘルツ波を極めて特徴的に吸収することを発見した。それが、今回の開発につながった。
従来は、顔料の種類を識別する時、肉眼で色を見て判断するのが主であった。たとえ人間の目で見た上では同色と認知されても、含まれる成分は異なるということがある。
例えば絵画の場合、顔料の材料が異なっていたり、絵が描かれていたとされている時代のものとは異なる材料が混ざっている場合だ。そのような事実は肉眼では発見できない。そこで、顔料がそれぞれ固有のスペクトルを持っているということに着目した。テラヘルツ波を照射し、データベースと照合することで顔料の種類が特定できるようになった。この作業には、分光器を使うが、これは小川准教授らが赤外線の分光器をテラヘルツ波用に改造したものだ。
絵画への応用が世間で強調されている本技術であるが、研究が進めば絵画以外の文化財や食品分野にも応用できる。特に食品分野では、食品添加物の有無をテラヘルツ波を使って確かめることや、工業製品の成分を分析することも可能になる。
今回開発された技術全体について、小川准教授は「修復技術を中心に海外でも好評であり、
これからのニーズも多いのではないか。」と語った。
