東北大学新聞:

360号 お仕事探訪

 今回は、スクールカウンセラーのAさんにお話を伺った。Aさんが現在担当している学校は高校が2つ。契約は1年単位となり、2つの学校を併せて年間55回の非常勤となる。1日の仕事時間は5時間~6時間で、時給は5千円になるという。

スクールカウンセラーの仕事の中心は、クライアントとの面接にある。年間に面接を行う人数は学校によっても違うが、30人~40人程。そのうち、相談に来るのは生徒がほとんどで、一番多い悩みは人間関係に関することだという。
Aさんは、スクールカウンセラーの仕事を始めてから3年になる。大学で心理学を学んだ上での実践ではあるが、現実とのギャップに遭遇することもある。例えば、「誰でもカウンセリングを受ければ悩みがスッキリするものではない」といったこと。カウンセラーは“魔法使い”ではないとAさんは言う。
また、人の悩みを聞くことが仕事であるために、時には気が滅入ってしまうこともある。Aさんにとって大事なのは、頭のスイッチを切り替える上での研修だ。
「気が滅入るのはクライアントさんとの関係の中で何が起きているのかわからないから」。研修での知識の深化は、面接時における自分の感情の揺れを理解する上でも重要で、結果的に普段から滅入ることのないようにする上でも役立つことになる。
しかし、心理学の知識によって用意された対応の「ひな型」が、必ずしも現実のクライアント全てに当てはまるわけではない。どうやって応用していくのかについては「毎日がガチンコ勝負」。何がそのクライアントとのカウンセリング場面において一番適切なのかを考え続けるしかない、とAさんは話す。
カウンセラーを目指す学生に対するアドバイスを伺ったところ、必要な資質は「自分に向き合うことのできること」だとAさんは話してくれた。恨みや妬みなど、自分の中には見つめたくない部分もたくさんある。けれども、「そういった内面を知らないと、例えばコンプレックスを刺激するような相談に直面したときに、自分の感情の動きに飲み込まれてしまう」。クライアントに話しかけるその言葉が、適切な言葉なのか、それとも自分の感情の動きが生み出した、時に不適切な言葉であるのか。見極めるためにも自分を知ることが不可欠となる。
カウンセラーに必要となるのは、知識と、柔軟な応用力と、そして己を知ること。けれども最後に注意点。「自分を見つめすぎてもだめ。自分の問題にかかりっきりになってしまうと、今度は逆に余裕がなくなってしまう」。あくまで自分の中で余裕が生まれることで、はじめて他人の悩みを受け入れる余地が生まれてくる。人間を相手にする職業に共通する教訓ではないだろうか。

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