単結晶シリコン完全修復に成功
本学大学院工学研究科ナノメカニクス専攻の閻紀旺准教授・厨川常元教授の研究グループが、ナノ秒パルスレーザーを用いた単結晶シリコン加工物表面の変質層の完全修復に成功した。長時間の熱エネルギーを与えることで、ダメージのあるシリコンが部分的に回復されることは知られていたが、レーザーを用いて完全修復に成功したのは今回が世界初となる。
単結晶シリコンは半導体基盤材料のほか、レンズのような赤外線光学材料としても非常に重要だ。ところが、単結晶シリコンを目的の形状にする段階で結晶に欠損が生じ、数十~数百ナノメートルの加工変質層が残ってしまう。この変質層を除去しないと、基盤性能が落ちるなど重大な影響を及ぼす。そのため、従来は主に薬品を用いて単結晶シリコンを研磨する方法がとられてきた。しかし、この方法は形状誤差が生じるうえに、変質層が完全には除去できない、使用済み廃液を処理しなければならないなど多くの問題点を抱えている。
今回開発された技術は、高周波レーザーを単結晶シリコンに照射するだけで変質層を完全な単結晶にすることができる。従来のような廃棄物がないほか、加工したシリコンの形状が崩れないなど、非常に画期的な技術として注目されている。
現在、閻准教授らはこの技術をより大きなシリコンや、複雑な形状のレンズなどにも応用するため、装置の開発を進めている。うまく行けば今年末にもシステムが完成する見通しだ。
