細胞内の分子運動 ナノレベルでの観測に成功
本学先進医工学研究機構の樋口秀男教授らの研究グループが、抗がん剤を利用して細胞内の分子レベルでの動きを立体的に観測することに成功した。ナノメートル単位での分子の運動をとらえたのは、今回が初めて。
教授らのグループは今年2月、抗がん剤ががん細胞に達する様子を、分子レベルの画像で確認できるシステムを開発した。そのときは、抗がん剤の一分子に蛍光ナノ粒子を結合させ、生きたマウスの静脈に投与する方法をとっていた。ところが、生きたマウスでは血管が心臓の鼓動と共に動いてしまい、抗がん剤の位置の精度を上げることができなかったため、今回は培養細胞を使用。位置を検出する精度や動画処理の速度を格段に向上させた装置で、細胞内での抗がん剤の挙動を三次元的にとらえた。
今後の課題は、培養細胞ではなく生きたマウスへ、さらには人体へと適用していくことだ。がん細胞の分子レベルでの範囲を発見できるようになれば、より効果的な薬剤が開発できる可能性もあるという。
「今回の発表の意義は医学的な意味だけでなく、純粋に細胞内での分子の挙動をとらえたという理学部的な側面も持つ。抗がん剤以外に、動くものなら何でもその運動を観測することが可能だ」と樋口教授は話している。
