東北大学新聞:

ウインドノーツ、連覇逃す

第31回鳥人間コンテストが7月28日、29日の2日間にわたって、滋賀県琵琶湖で開催された。東北大学の鳥人間サークル「ウィンドノーツ」は人力プロペラ機ディスタンス部門で、3672.71mを飛び、みごと準優勝を飾った。
鳥人間コンテスト、通称鳥コン。滑空機部門と人力プロペラ機タイムトライアル部門、人力プロペラ機ディスタンス部門の3部門で記録を争う。湖岸から突き出した高さ10mほどの滑走路から、色とりどりの機影が水面に舞う。

ウィンドノーツは今大会で10回目の出場となる。昨年度は、琵琶湖対岸折り返しを単独で成し遂げ、他チームに圧勝した。しかし、今大会は風の強い悪天候の中、多くのチームが06年度大会のような高記録を出せず苦戦を強いられた。歴代最長記録34654.10mを持つ日本大学理工学部航空研究会(以下、日大)は、風に翻弄され湖上を迷走。最後は湖に引きずり込まれるように、1390.40mで沈んだ。優勝した東工大ですらも、3998.51mしか空にいられず、記録更新に挑む苛烈な争いは見られなかった。しかし、上位4位までに強豪3チーム(東工大、日大、東北大)が入り、改めて実力を感じさせる戦いであった。
ウィンドノーツの機体名は「Sterna(スターナ)」。アジサシという鳥の属名で、その中でもキョクアジサシをイメージした。その姿は小さいカモメと思ってもらえばよい。キョクアジサシはどんな鳥よりも長距離の渡りをする。北極圏から南極域まで片道およそ1万6千㎞ものフライトをやってのける。命名に、歴代記録更新をもくろんだ決意が感じられる。
スターナは、06年度の機体「谺(こだま)」の安定性や操縦性をそのままに、さらに機速を上げ、機体の飛行に必要な出力を抑える方針で制作された。パイロットの体重が3㎏ほど増えた分の揚力を補うなど、試行錯誤の結果、主翼全長は2m伸びて34m、機体重量は1kg増して33㎏となった。設計上、琵琶湖対岸を折り返して36㎞を飛べる性能を備え、大会を迎えた。
パイロット平野のカウントダウンで助走を開始したスターナはテイクオフ(離陸)早々勇み足。毎秒約3mの向かい風に対し、速い初速度で突っ込んだ。設計規則を上回る負荷のかかった主翼はねじれ、放送席から焦りの声が上がる。羽が折れそうな状況から無事脱したものの、乱れる風をいなすため、ラダー(方向舵)の操作に追われた。風は止まず、機首を方向転換しようとして、また流されるということを繰り返した。1㎞を過ぎ、2㎞をまたいで、3㎞を超えてしばらく、平野は鈍い音を耳にした。右翼とコクピットをつなぎ止めていたワイヤーが千切れたのだ。腱を切断した右翼はもろく中程で折れ、スターナは暗い湖に墜ちた。優勝まで、あと300mだった。
来年へ向けて、すでにウィンドノーツでは後輩への引き継ぎが終わり、チームが動き始めている。08年度の三役(部長、設計、パイロット)は、「優勝します。できなかったら、笑ってください」と、屈託のない笑顔をそろえて答えてくれた。スターナのDNAを受け継いだ機体で、ぜひ首位を奪い返してほしい。

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