東北大学新聞:

不妊治療改善の可能性

本学先進医工学研究機構学研究機構の阿部宏之教授は不妊治療の成功率を高めうる装置を開発した。

従来、不妊治療は高い費用を要するが、それほど成功率は高くなかった。不妊治療の際に使う受精卵が元気であればあるほど成功率は上がると考えられているが、元気な受精卵の選定は容易ではない。これまで外見のみで判断してきたが、主観的な判断方法であり、あまり正確ではなかった。
今回開発された装置は、受精卵呼吸測定装置。太さわずか数ミクロンのマイクロ電極にマイナス0.6ボルトほどの電流を流しながら、受精卵に近づける。これによりマイクロ電極は酸素の還元電位を検出し、受精卵近くの酸素の濃度勾配を測定する。呼吸量の多い受精卵は周りの酸素密度が小さくなっていることから受精卵の呼吸量が測定できる。これにより呼吸量の多い受精卵の検出が可能となり、不妊治療の際にそれを用いるとどうやら成功率が上がりそうだという。
計測は約30秒で終わり、受精卵近くの酸素濃度を測るというものなので受精卵に何ら影響を及ぼさない。
阿部教授はこれまでウシで実験を行い、成功率が40~50%だった妊娠率が60%近くまで上昇した。マウスや豚の実験でも妊娠率の上昇が確認された。
装置の販売は、阿部教授を含む先進以降医工学研究機構の4人の教授で立ち上げたベンチャー企業「クリノ株式会社」が行う。去年の11月1日に立ち上げ、今年4月以降に販売を始める予定。
現在は仙台と大分のクリニックにおいてこの方法が試行されている。今後は臨床実験でデータを集め、医療への浸透を目指す。阿部教授は「不妊治療において、多少の手間と費用をかけてでも成功率を高めたいと思う人は多いはず。この測定法は世界の不妊治療を一変させる可能性を秘める」と語る。

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