東北大学新聞:

H教授の暴行認定

本学大学院国際文化研究科の40代の米国人H教授からドメスティック・バイオレンス(DV)を受けたとして、京都市に住む50代の女性が教授に慰謝料など約三百万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、仙台地裁は07年12月19日、教授の暴行を認定し、慰謝料を含めた約11万円を女性に支払うよう命じた。教授が女学生へセクハラをしたり研究費を不正に使用したりしたという女性の主張は、判決でふれられなかった。

この一審判決に対し、教授は、不服を申し立て、控訴している。
女性の訴えによれば「H教授は、指導生徒や留学生を含む複数の学部学科の女学生へ性行為を強要、教唆したり、指導下にあった留学生に銀行口座を作らせ、研究費を還流しているなど、公金を不正使用したりしている」。女性は、手紙でこれを東北大学の関係者に訴えていて、手紙は裁判資料としても提出された。
教授は「女性が本学の関係者に書簡を送付したことによって、名誉を毀損され、業務に悪影響がおよんだ」として、一千万円の損害賠償を逆に求めていた。しかし、小野洋一裁判官は、「手紙の受け手は文章の理解力がある者であるので、手紙の内容をただちに事実と受け止めたとは認められない。教授の周囲を混乱させたものの、教授の名誉が毀損されたものとは認めることはできない」として、教授の反訴を退けた。裁判官は、教授の異常な性的素行や不適切な勤務態度の疑惑まで、深く言及することはなかった。
また「医師の診断書による客観的な症状や教授が女性への謝罪のメールなどから、教授が女性に暴行したことは事実。女性は精神的苦痛を受けた」とDVを認定。しかし、「男女関係のもつれによって生じたもので、双方に原因がある」とし、精神的苦痛に対する慰謝料は10万円にとどまった。
判決によると、04年5月、女性は英語の勉強サイトの広告で知った出会系サイトで教授と知り合い、交際が始まった。同年末ごろ、女性は教授に妻子があることを知ったが、その後も交際は続いた。教授は、自分が参加する国内外の学会などに女性へ同行を求め、女性が同伴しての出張を約10回程度続けた。06年6月20日、教授は、女性を連れて公費で出張していた際、滞在していたドイツ東部の町にあるインターネットカフェで、女性と口論になった。教授は罵声を浴びせて女性を突き飛ばし、女性は椅子から床に転げ落ち、けがを負った。
12月27日、学友会報道部の取材に対し、大学側は「DVは個人間の問題でもあるし、控訴期間中なので、まだ何も動いていない」と答えた。
07年12月28日、報道部が求めていた法人文書の部分的な開示決定が下された。12月3日に報道部は、教授によるセクハラや研究費不正使用の疑惑について法人文書などの開示を大学へ申請していた。教授の出勤簿や研究簿は開示されたものの、大学の関係者で構成された委員会の調査結果などは不開示。調査委員会への情報開示については、「独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律」第8条より、「当該法人文書の存否を答えることは、教授に何らかの問題の疑いがあったという事実の有無を示すこととなり、個人の権利利益を害するおそれのある情報が明らかになるため、文書の存否を答えることはできない」とされ認められなかった。
だが、教授のセクハラや研究費の不正使用の疑惑も調査委員会が設けられた事実も、今回の判決で公に知らされていることであり、大学は少なくとも存否を答えなければならない。まして、原告の書簡や週刊誌の報道によって疑惑は広まっており、学内は混乱している。調査委員会を設置し調査したというが、複雑な利害関係がからむ大学関係者で構成されたのでは客観的な判断が下されたとは思えない。学外の第三者機関へ調査を委託し、早急に真相を究明すべきである。
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