東北大学新聞:

肝臓病の検査を受託

 腎臓病の検査、測定を受託するベンチャー企業、株式会社トリムメディカルインスティテュートが11月30日に設立された。株式会社日本トリムと本学医学系研究科教授の伊藤貞嘉教授・中山昌明准教授の共同によるもので、資本金の五千万円は日本トリムが全額出資する。主な事業は、日本トリムと本学医学研究科グループの共同開発により新たに確立された腎臓病等の疾患関連因子の測定方法を用いた受託測定業務である。

 今回の新会社設立はもともと日本トリムと共同研究していた本学医学研究科が、本大学の未来科学技術共同研究センター(河野雅弘教授、中山恵輔大学院生)との共同研究の成果を事業として活かそうと呼びかけ決定した。設立に関わった日本トリムの樺山繁氏は、精密で正確な測定方法による受託測定を行い、確度の高い腎臓病研究を推し進めることの重要性を感じたという。
 腎臓病が進行して腎臓機能が廃絶してしまうと、透析療法あるいは腎臓移植を受けないと生命を維持できなくなる。このような末期腎不全患者は、毎年3万人が新たに発症し、現在全国に約26万人の患者がいる。患者は主に人工透析による治療を受けているが、これは一人当たり年間五百万程度の費用がかかる。また、最近の研究で、たとえ透析を受ける必要がない軽症の腎臓病患者であっても、腎臓病の無い一般人と較べて心臓病や脳卒中にかかりやすく死亡危険率が高いことが確認されている。このため、腎臓を傷害する要因を探る研究が広く行われてきたが、未解決な部分が多いのが現状であった。
 今回の設立の要となった検査項目の内容は、腎臓に悪影響を与えていると想定されるいくつかの糖代謝産物の測定を可能にしたものである。これまでの測定方法では測定値がばらつき信頼性に欠けたが、本方法では、技術的な修正を加えてこれらの問題を克服した。今後、臨床レベルでも利用することが可能となり、正確な測定値を元にした腎臓病の原因解明が期待されている。
 トリムメディカルインスティテュートでは、糖分解代謝産物の受託測定のほかにも腎臓病関連の遺伝子検査も行う予定である。この検査は糖分解代謝産物を分解する酵素の量や質に個人差があることに目をつけ、同じく日本トリムの子会社であるTRIMGEN CORPORATIONが持つ遺伝子解析技術を利用して遺伝子レベルでの解析を行うものである。
 今後の展望に関して中山准教授は「この企業を拠点として測定方法を広め、多くの研究者にその有用性を検証してもらうことで、(測定物質の)臨床的意義を確立したい」と語った。本格的な業務は3月から開始予定で、受託測定の予約を募っているがすでにかなりの予約が入っているという。

説明

糖代謝産物 
ブドウ糖の代謝の過程で発生するもので、メチルグリオキサールなどが代表的な物質。基礎的研究にて、腎臓を含む様々な臓器への悪影響が指摘されており、食物中では、特にソフトドリンクや焦げたものに多く含まれることが確認されている。

Copyright (C) 東北大学新聞