東北大学新聞:

現役東北大生が東北大模試に挑戦

最近の私は何だかダメだ。全然授業に出れていない。毎週毎週自主休講。平日だというのに、起きたらもう夕方だ。起きて1時間で陽が沈む。
だがこんな私だって、生まれた時からこんな生活を送ってるわけじゃない。つい最近までは、ちゃんと規則的な生活を送っていた。高校生時代(受験生時代)だ。あの頃は真面目だったな。毎日授業にも行ったし、満員電車に揺られても文句一つ言わなかった。
そろそろここらで自分を叩きなおさねば。幸運なことに、新聞部には2年前に東北大模試で全国1位に輝いたという実績がある。私もこの伝統に倣おう。東北大生の威光を世に知らしめる時が来たぞ。目指せA判定。そして願わくば、受験生からマジメ君エネルギーをもらって、再び授業に出よう。
10月某日。河合塾仙台校前。何だか妙にテンションが他とは違う3人組。しかも、1人は原付にもたれかかっている。この日は、模試の申し込みにやってきたのだ。ちょうど授業終了後なのか、多くの塾生が足早に脇目もふらず家路を急いでいく。談笑している私達とは全然違うなあ。その姿をみて、今頃浪人してる地元の友達もこんな感じなのかなあとしみじみとした。なんてね。
早速受け付けに行って、「模試に申し込みたいんですけど」と告げる。ところが返ってきたのは、「インターネットでしか申し込めない」という衝撃の答え。しょうがないので、後日携帯電話から申し込む。席が隣になるように、「せーの」で一斉に送信する。この時伝統にならって偽名を使ったのだが、私を除く他の2人は名前を教えてくれなかった。なにぶんシャイなのだ。
ここで改めて、受験生に挑む3人のサムライを紹介しよう。まず、文学部1年の私。受験生時代の得意科目は英語。不得意科目は数学だ。模試用の偽名は鈴木五浪。これは、前年度に鈴木三四浪が受験したことによる。次に、同じく文学部1年のO。かつての得意科目は数学で、不得意だったのは英語だそうだ。偽名は出来杉英才。もちろん某マンガに由来している。3人目は理学部2年のU。実はこのUは、去年も模試を受験している。E判定だった去年のリベンジを狙う。意気込みは十分だがコンビニで試験料を払い忘れて、独りで後日行われる、駿台模試を受ける羽目になってしまった。使う名前は河合太郎。受験生時の得意科目は物理だそうだ。でも、古文には滅法ヨワいそう。
いよいよ模試の当日がやってきた。明日の1限にはスペイン語のテストがあるなあ。確実に、翌朝は疲労で死亡だろう。 教室に入ると、そこには未来の東北大生候補がたくさん。談笑している者もいれば、勉強している人もいる。大丈夫、きっと受かるよ。たぶん。
いざ試験。といきたいところだが、その前に受験登録がある。この時、私の前に座った出来杉が私の方を振り向いて言う。「高校名どうする?」。ページの後ろを見ると、バカロレア資格というあんまり頭よくなさそうなものがあるのでこれにする。出来杉は、「認定」というよくわかんないものを選んだ。
最初は国語。古漢からとりかかるが、全く内容を追えない。大学での「持ち込み可」はやっぱり凄い。現代文こそはと思うが、評論は内容が理解できても解答能力がない。結局、それっぽいことを書いて終ってしまった。早速、A判にイエローカードが出る。出来杉に出来ばえを聞いたところ、「終わった」とのこと。
そんなこんなで、得意科目は無難にこなし、不得意なのは部分点だけで稼ごうと苦戦しながら試験はすすむ。出来杉も、数学の時だけは自信ありげだった。
一方駿台模試を受けた河合太郎は、「分かってはいたが、やはり場違いな気がした」と語った。
結果は、ある日突然返却されてきた。家のドアを開けるとポストマンの姿が。「鈴木五浪様はいらっしゃいますか」だそうだ。五郎のアクセントで言うか、五浪と言うか、苦労している。さすがに申し訳なさで一杯になる。民営化そうそう、こんな変な客に捕まってスイマセン。今頃は、同僚との酒の肴にでもなってるといいけれど。
他の2人と部室で一緒に開封する。まず出来杉のものからだ。最初に目に飛び込んできたのは、国語36点の文字。一気に気が緩む。それでも判定は・・・C。意外といけるもんだ。次に私。数学は、15点しか取れていない体たらくだ。英語で、偏差60を超えているところにかろうじてかつての片鱗が窺える。それでも判定はC。次に河合太郎。理学部の判定は・・・E!やってくれました。さすが期待を裏切らない先輩だ。志望校に東大を入れてあるが、判定が出ていない。数学・化学に及んでは、一割を切っている。
出来杉にいたっては「図表は少し崩れ、あなたは過去で他の兆しに気づくだろう」と謎めいた和訳を書き連ねている始末。
もはや、新聞部の伝統を創るどころか黒歴史を作ってしまった我々。私たちがこの大学にいるのは、神のおかげか? これから、単位が取得できるのだろうか。それは、学年末になればわかることだ。

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