東北大学新聞:

貴重な短角牛の増産を開始

本学大学院農学研究科の山口高弘教授は遺伝的に筋肉がつきやすく、脂肪がつきにくい肉牛の系統造成に成功し、その増産に乗り出した。


この肉牛は脂肪をわずか2%にとどめ、一頭当り100キロ多く肉がとれる。欧米などの諸外国ではこのように、脂肪が少なく赤身が多く取れる肉牛のほうが、一般的かつ健康的だとされている。一方、日本では少ない牛肉をよりおいしく食べるため、霜降りなどと呼ばれる脂肪の多い肉牛の開発と生産を今まで行ってきた。
一般にサシと呼ばれる脂肪交雑の多く入った黒毛和種の牛肉はその40%が脂肪である。このような牛肉を育てるには濃厚飼料である穀物を多く必要とする。
一方、短角牛と呼ばれるこの肉牛は放牧で牧草を食べさせて飼育する。その短角牛の中でもマイオスタチンと呼ばれる筋肉の成長を抑える因子をつくる遺伝子が片方欠損している個体を選抜した。それらを掛け合わせ、遺伝対ごと欠損させることで、その形質が強く現れた肉牛ができた。
そのため、通常の肉牛より筋肉が肥大化しやすく、脂肪がつきにくい。今まで日本では脂肪が入らないため不良形質として排除されてきたが、海外では二倍の筋肉を持つという意味でDM(ダブルマッスル)牛と呼ばれ珍重されている。
脂肪がほとんど入らないためにスジのような結合組織ができづらく、赤身が多いわりに通常の肉よりも柔らかい。牧草のような粗飼料で育つため、穀物で育てるより環境への負荷が少なく、手間もコストも掛からない。
しかし、肉牛は受精から出荷まで約3年は掛かるため、食卓に上るほど増産するまでにはまだ少し時間がかかるそうだ。

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