東北大学新聞:

高血圧治療に新たな標的

本学附属病院腎・高血圧・内分泌科の種本雅之助教のグループが、高血圧治療の新たな標的を同定した。

今回の発見で、現在の高血圧治療がより効率的に行えるようになると期待されている。
生体には血液中のナトリウムイオン濃度を一定に保とうとする働きがある。言い換えれば、体内のナトリウムイオンの量で血液の量が決まっている。人間や動物は塩分としてナトリウムイオンを取り込み、尿として排出する。この過程で腎臓は摂取する塩分量によって血液の量が変化しないよう調整する役割を果たしている。
一方、血圧は血管の太さと血液量によって決まる。現在の高血圧治療薬は血管抵抗を小さくするものがほとんどで、血液量を減らす薬としては利尿薬が知られている。しかし、利尿薬は過剰なナトリウムの他にカリウムなど必要なイオンまでも体外に出してしまうため、副作用として不整脈を引き起こす原因ともなっている。
血液は腎臓の毛細血管を流れる過程でろ過され、原尿になる。原尿には体に必要なイオンや糖が多く含まれ、それらは尿細管で再び血液に戻される。尿細管はエネルギー源を取り込む近位尿細管と、イオンを吸収する遠位尿細管に分けられる。遠位尿細管の細胞の表面には、カリウムイオンを通すカリウムチャネルと、ナトリウムイオンを通すナトリウムチャネルという穴が開いている。腎臓の細胞はこれらの穴を通じてイオンを血液中に戻したり、尿に捨てたりしている。ところが利尿剤はナトリウムイオンの吸収を阻害するため、カリウムイオンを始めとする他のイオンバランスも狂わせてしまう。
カリウムチャネルがイオンを通過させる機構として機能するためには、タンパク質が細胞表面で発現し、そこにとどまっている必要がある。腎臓は摂取した塩分量に応じてカリウムチャネルの数を調整しているが、もしそれが人為的に可能ならば利尿剤の副作用を軽減することができる。種本助教のグループは、カリウムチャネルを細胞表面につなぎとめておくタンパク質を発見。カリウムチャネルが活性化される機構をより詳しく究明し、細胞レベルから個体レベルへ研究を進めていきたいとしている。

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