東北大学新聞:

大学生のメタボによるダイエットのための鬼ごっこ

最近、健康診断が行われた。結果は1年でプラス10キロ。……やばい。太りすぎだ。このままでは今噂のメタボになってしまう!少しでも運動しなければ。
ダイエットのための運動といえば、マラソン、水泳など。しかし、そんな苦労をしてまでやせたくはない。できれば楽しくやせたい。そしてマッチョになりたい。
そうだ、鬼ごっこをしよう!

やるには、まず人を集めなければいけない。しかし、「メタボ解消のため」といって誘ったらかわいい後輩達に「肉付きのいい先輩」と思われてしまう。作戦を練らねば。
「皆、中学生になれば勉強や部活動で忙しくなってしまう。高校生にもなればこんな子供の遊びをやるのは恥ずかしい。ましてや大学生にもなれば。しかしだからこそ童心に還るべきだ!」
そう皆の前で力説したら、報道部の純粋な1年生たちは5人も集まってくれた。皆、よく来てくれました。彼らは優秀な新聞記者になってくれることだろう。しかし、上級生たちはこちらの思惑に気付いたのか3人しか来ていない。ちっ、さすがだ。
さて、鬼ごっこのルールを説明しよう。鬼2人で川内北キャンパスの中を逃げ回る参加者を追いかけ回し、捕まった哀れな人間は新しく鬼となる。捕まえた鬼は人間に改心する。そして新しい鬼は自らの失態をメールで全員に伝えなければならない。建物の中には入らない、道路には出ない、鬼は覆面をつける。制限時間は1時間で敗北条件は鬼になった回数。最初だけ鬼になった回数には含まない。
まずは私と1年生の田中が鬼だ。まずは6人が逃亡。そして、5分の時間を置いて鬼が動き出す。
さあ、捕まえるぞ!そして、メタボ解消だ!
と、強く決意して探し始めるが、これがなかなか見付からない。案外、川内北キャンパスというのは大きいものだと実感する。
ようやく見つけた頃にはヘトヘトになっていた。場所はC棟の裏、実験棟の辺りに2人。1年の中野と杉本だ。ようやくのチャンスに何も考えず突進する。しかし、この2人足が速い。それに対して万年運動不足、メタボ予備軍である私は正直遅い、すぐ息が切れるが出会った場所が良かった。バッタリと出会ったので距離が近い。その上、場所がM棟とC棟の間の階段の上の近く。逃げ道がないのだ。ふっふっふっ。君達には早速犠牲者になっていただこう!2人のうち、杉本には逃げられたが中野の方は追い詰めた。しめしめ、運がいい。中野はオレと同じくメタボ予備軍なのだ。おとなしく観念したまえ。
だが結局逃げられた。「もはやこれまで」と思った中野がガードレールを乗り越え、そのぜい肉を駆使してコロコロと転げ落ちていったのだ。前日の雨でぬかるんだ土の坂を、まるでカービィボールのカービィように転がっていく。下につくと同時に、ゴロゴロとコンクリートの上を転がり、さっそうと逃げていった。丈夫だな、中野。私の視点では頭を打っていたように見えたのだが。メタボ予備軍ながらもそれを生かし逃げる中野に私は一目惚れ。というのは冗談。
しばらく探していると見つけた、他の獲物を。一番か弱い女性の赤山さんだ。これは狙い目だ。
ゆっくりと獲物に近づく。と、いきなり赤山さんが走りだした。ちっ、気付かれたか。時々悲鳴をあげながら逃げ回る彼女。それを追う私はゾンビの仮面を被り、学生も多くいる厚生会館前に追い詰めた。いくら腹筋が横に割れている私でもさすがに彼女よりは足が速いので、すぐに捕まえられた。ここがもし交番の前だったとしたらどうなっていたかは言うまでもない。
そして、ここからは鬼が3人に増殖した。高原が自ら「鬼になりたい」と志願したのだ。
ようやく鬼ではなくなった私はのんびりと自由を満喫していた。ふと見ると、復讐鬼と化した赤山さんが。とっさに逃げ出すが、千賀とのはさみうちを仕掛けあえなく討ち死に。あっという間に鬼に逆戻り。
しばらく獲物を探していると、棚からぼた餅。安倍川と岡村が高原と赤山さんに追いたてられて体育館方面からやってきたのだ。これはチャンスとばかりに2人の鬼と協力してはさみうちに。安倍川には逃げられたがさすがに3人ではさみうちにすれば逃げ場はない。岡村は観念してひざをつき大人しく自らの死を受け入れた。ちなみに、この哀れな獲物は私が打ち捕った。卑怯とか1年に譲ってやれよとか言うな。こういうものはやったもの勝ちなのだ。
二度目の生を受けて私はまた自由に向かって走り始めた。すると高原と赤山さんは獲物を討ち取った私を追いかけてきた。さっきまで仲間だったのに。渡る世間は鬼ばかり。
なんとか逃げ切るも体力の限界によりダウン。M棟の裏に良い隠れ場所があった。そこに隠れようとしたのだが、鬼が近づいているのが見えた。まずい。早く隠れなければ。すると、そこに不用意に近づく杉本を発見。ここは先輩として後輩に危機を伝え、「頼りある先輩」をアピールすべきだ。一瞬でそう考えた私が発する危険信号に気付かない杉本。そうこうしているうちに鬼がやってきた。赤山さんと安倍川だ。でも、杉本は直前で気付き、来た道を引き返し、難を逃れた。ち、「頼りある先輩」は目の前だったのに。そんな腹黒いことを考えたバチがあたったのか、目の前に安倍川が。見つかる前に隠れ場所にもぐり息を潜めて通り過ぎるのを待った。絶対に見つかるまい。そう確信していたが、あっさりと見つかった。杉本に危険信号を出しているところを見られていたのだという。おのれ杉本、許すまじ!
残り時間も少ない。後15分。ここまででまだ一度も捉えられていない連中がいる。高原と杉本そして、中野だ。この3人をなんとしても捕まえねば!
そんなことを考えていると厚生会館の前に余裕の表情で座っている高原と杉本を発見。岡村と合流しこの2人に近づく。見つけていないフリをしながら少し遠くの辺りを通り過ぎる。2人の顔を横目に見ながら逃げ道を塞ぎつつ岡村が2人の後ろに周った。2人はこちらの方に注意を払っていたため背後に立つ岡村はあっさりと高原を捕らえることに成功。後は、逃げ出した杉本を捕らえるのみ。必死で追う私。逃げる杉本。だが、またしても取り逃がした。やはり、若さの差なのか。そして、杉本と中野を捕らえられぬままタイムオーバー。
失意のままに家に帰り、買い置きのポテトチップスをむさぼる。将来のことを気にしていたら、鬼が笑う。

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