東北大学新聞:

ウインドノーツ 今年初の試験飛行

本学鳥人間サークル「ウインドノーツ(Windnauts)」は、7月26、27日に琵琶湖で開催される鳥人間コンテスト選手権大会へ向けて日々努力を重ねている。この大会は自作の人力飛行機で飛行距離や飛行時間を競うもの。毎秋テレビ放送されていて、今夏で32回目。一昨年、ウインドノーツは他を圧倒して優勝、昨年は惜しくも東工大に敗れ優勝を逃した。そのウインドノーツが今年初の試験飛行に望んだ。

午後11時、川内北キャンパスの一角。プールと体育館に挟まれたプレハブ小屋で試験飛行の準備は始まる。一人また一人と集まる部員たちは少し興奮気味だ。
午前2時、11個に分解した飛行機を4tトラックへ運び入れる。各部品が出来上がるのに丸半年。大切な機体をしっかりと固定しトラックの出発を見送ったのち、部員たちは後を追う。
部員は月三千円ずつ出し合い機体の製作費に充てているが、試験飛行のたびにかかる費用は別。レンタカーをおよそ6台と4tトラックとその運転手を毎回借りるとなると、出費が馬鹿にならない。もっとも、そう話す部員は嫌そうでもないから、彼らの熱意に感服してしまう。
午前3時すぎ、角田滑空場に到着。滑空場は東北大学から南へ車で1時間弱。霧が立ち渡った阿武隈川の河川敷に、幅8m、長さ400mの滑走路が一本走っていた。
まだ辺りは真っ暗だが、車のライトを頼りに飛行機を組立て始める。組立てならば大学の運動場で反復してきた。作業は順調だったが、それでも飛行機が完成すると午前5時を回っていた。
機体の名は「來(らい)」(「来」の旧字体)。スタート地点から18km先で折り返しスタート地点まで帰って来て大会の最長飛行可能距離36kmを飛ぶようにという願いを込めた。この折返しルールは第28回大会より導入された。第27回大会でウインドノーツが琵琶湖対岸へ到達し大会記録をあっさり塗りかえたものの、日大、東工大がそれをも上回る大会記録を続出したことによる。最長記録はその大会で日大理工学部航空研究会が打ち立てた34654.10m。これを破る大会新記録36kmを目指して、強豪がしのぎを削っている。
長く立ち込めていた霧が晴れ、「來」の初試験飛行開始。狭い入り口からコクピットにパイロットが体をねじらせて乗り込む。「來」の背骨に6人、彼らがまず機体を押し出す。両翼に2人ずつ、翼が地面について壊れないように立つ。残りの人員はグラウンドクルーとして滑走路を挟み左右対称に等間隔で位置についた。
合図とともにプロペラがぐんぐん回転を始める。二度目の合図で機体が助走に入った。かけ声とともに勢いを得た「來」はあっさりと宙に浮いた。両脇に並んだ部員が飛行機を追って次々とリレーのように駆ける。前日の雨が降った草地を足がびしょびしょになるのも構わない。全員の目が「來」に釘付けだった。
減速、の合図で滑走路から外れ姿勢を崩しながら地面に降りる「來」に皆が走り寄った。
理論上は毎秒7.2mで「來」は飛ぶ。去年と比べパイロットの体重が8kg減った分、翼を短くでき必要出力が減った。しかし機体が軽くなると風にあおられやすくなる。人力飛行機は元々風に弱く、些細な操作ミスで簡単に姿勢を崩してしまう。パイロットの西脇(工学部3年)はラジコン飛行機を使って機体制御を模擬練習したそうだが、実際の飛行機を操縦するのは今回が初めて。「パイロットが操縦に慣れるよう可能な限り角田へ通って練習を積み、滑走路の端から端まで飛ばしたい。今大会優勝を目指します」と菊田部長(工学部3年)は話した。

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